
『エリザベート~神の手を持つ王女~』(みやのはる:漫画、堀江宏樹:原案・監修/KADOKAWA)は、革命前夜のフランスを舞台に、民から深く愛されたひとりの王女の生涯を描く歴史ロマンスである。『ラ・マキユーズ~ヴェルサイユの化粧師~』(みやのはる:漫画、堀江宏樹:原案・監修、なつなつ@研究職:化粧品監修/KADOKAWA)に連なる新たな物語として大きな注目を集めている。
時は1780年。ブルボン王朝のもとで栄華を誇るフランスでは、王侯貴族と民衆の間に大きな隔たりが生まれつつあった。そんな時代に、「神の手」と呼ばれる不思議な力によって命の危機に瀕した人々を救い続けた王女がいた。生涯独身を誓い、身分の違いを超えて民に寄り添うエリザベートである。彼女の存在は、多くの人々の希望となっていた。
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華やかな宮廷文化の裏側にある社会の現実にも目を向けているのが本作の特徴だ。王女という特別な立場にありながら、エリザベートは苦しむ民衆のことをいつも考えている。貴族社会と民衆の生活、その双方を見つめる彼女の姿を通して、革命へ向かう空気が少しずつ熱を帯びていく。
エリザベートの人物像も非常に魅力的だ。ただ高潔な聖女として描かれるのではなく、ひとりの人間として悩み、迷いながらも信念を貫こうと奮闘する。その姿には思わず引き込まれてしまうだろう。さらに、彼女に魅せられた青年テオドール・デュシャンとの出会いが物語にロマンスの彩りを加え、歴史、そして人間のドラマとしての面白さをいっそう高めている。
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「ラ・マキユーズ」シリーズが化粧師という立場からヴェルサイユ宮廷と時代のうねりを描いた作品であり、本作は王族の視点から革命前夜のフランスを見つめ直す物語だ。同じ時代を描きながらも異なる角度から歴史に迫るため、2作品を読むことによって物語はさらに奥行きを増すはずだ。
「ラ・マキユーズ」シリーズのファンはもちろん、歴史好きの人にもぜひおすすめしたい。華やかな宮廷文化と激動の時代、そして人々を救おうとした王女の生き様に、目が離せなくなるだろう。
文=馬風亭ゑりん
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