
夫が不倫している。しかし証拠がつかめない。問い詰めるには弱く、見過ごすには気持ち悪い。そんな最悪の状況から始まる物語が、『夫の不倫を証明できない』(ぱん田ぱん太/KADOKAWA)だ。
主人公の香澄は、11歳年上の夫・高政と社内恋愛の末に結婚し、穏やかな結婚生活を送っていた。しかし、彼女にある日、SNSの知らないアカウントからDMが送られてくる。そこに貼られていたのはどう見ても香澄の部屋で撮影したと思われる、顔の見えない下着姿の女性の写真だった。さらに、その写真には夫の私物まで写り込んでいたのだった。写真の女性は、体型や肌の色から見て会社の後輩・海音ではないかと思われた。
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普通なら、この時点で夫を問い詰めたくなるだろう。しかしその写真が決定的な証拠ではなく、海音にそれとなく探りを入れるものの埒が明かなかったため、香澄は部屋にも隠しカメラを置き、夫にGPSを仕掛けるが、不倫の決定的な証拠をつかむことができない。写真は毎週のように投稿されるが現場を押さえられない。夫と海音が怪しいのは明らかなのに、なぜ証明できないのか。謎解き感覚で読み手をぐいぐい物語へと引き込んでいく。
本作は、不倫をテーマにした作品でありながら、その内容はトラブルがメインではなくミステリーに近い。写真は本当に香澄の部屋で撮られているのか。海音はなぜ、そんな写真を投稿し続けるのか。そして夫は何を隠しているのか。読み進めるほどに疑問は増えていき、そしてだんだんと違和感が少しずつ線でつながっていくのである。
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香澄のキャラクターも魅力的だ。泣き崩れるのではなく、証拠を集めようと頭を使い、行動し続ける。ひとりのときは感情的な表情を見せるものの、徹底して冷静な観察と分析をする姿に「一緒に謎を解いている」ような感覚になり、「次はどうするか?」と考えてしまう。
誰が嘘をつき、何を仕掛けているのか。読み終えたあと、もう一度最初から確認したくなる、伏線とその回収を楽しめる物語である。
文=ちゃむ
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