※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年7月号からの転載です。

「濱口監督の選ぶ言葉はどれも私のなかにスッと入ってくる。女性の描き方にも敬意のようなものを感じていて、以前から濱口作品のファンでした。初めて脚本を読んだとき、『真理は私だ!』と高揚感みたいなものを覚えて。キャラクターを演じるうえで、自分ならこうするだろう、こうは言わないだろう、と落とし込んでゆく作業がほぼデフォルトのなか、真理のすべてに違和感がなく、演じることがすごく自然に思えました。たとえば資本主義について語るときにも私が普段、考えていることがちりばめられていたり。考えること、闘うことを止めずに悪あがきしている点も似ているかもしれません」
主演決定後に待ち受けていたのは、脚本読み千本ノック!?
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「感情を抜いて数字のように読み上げる、という作業をリハーサルでずっとやっていました。自分は合理的にやりたがるタイプなので、監督はここで何を求めているのかなど、いろいろ考えがちなんです。けれど今回は何もかも理解しようとはせず、飛び込んでみる。そうやった結果、初めての境地へ辿り着けた気がします。撮影でセリフが飛ぶ恐怖もほぼなくなりましたし、アスリートに近い感覚? でも現場ではそれを忘れて毎回、新鮮に口に出すことができました」
死と隣り合わせの日々のなか、〈ソウルメイト〉に出会う真理。
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「いわゆるロマンスという形では表しきれない、人に惹かれる気持ちが互いに芽生える。真理が残された時間を意識して急接近した部分もあるかもしれませんが、それ以上に『この人のことを知りたい』と、ふたりが同時に思ったことが大きい気がします。互いに同じ力量でそう思うことは珍しいのに、たまたまケミストリーが起きた。じつは私とヴィルジニーさんとの間にもカメラの外側で似たことが起きて、急激に近くなる感覚を覚えたことがありました。それが画面に映っていたらいいなと思います」
取材・文:柴田メグミ 写真:鈴木慶子
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スタイリング:船越 綾 ヘアメイク:阪本明子(SIGNO)
おかもと・たお●1985年5月22日生まれ、千葉県出身。2013年、ハリウッド大作『ウルヴァリン:SAMURAI』のヒロインに抜擢されスクリーンデビュー。その後、ドラマ『ハンニバル』シーズン3、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』『マンハント』『沈黙の艦隊』ほか国内外の作品に出演。モデルや短編映画の監督など、多岐にわたって活躍中。

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『急に具合が悪くなる』
原作:宮野真生子、磯野真穂(晶文社)
監督:濱口竜介
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒
2025年フランス、日本、ドイツ、ベルギー 196分
配給:ビターズ・エンド 6月19日より全国公開
●介護施設で理想の介護の在り方を探求するマリー=ルーと、独創的な舞台の演出家でステージⅣのがん患者である真理。同じ名前をもつふたりは偶然に導かれ、友情を超える絆を結ぶ……。『ドライブ・マイ・カー』でオスカーを獲得した濱口竜介監督最新作。
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