※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年7月号からの転載です。

伊藤さんが『魂の演技レッスン22』を手に取ったのは、1年ほど前。俳優の先輩であり、所属事務所の社長でもある小栗旬さんに「これ読んでみたら」と薦められたのだった。
「演技をするとは、役者の仕事とは、という根源的な概念が説いてあり、非常に勉強になりました。役作りやお芝居に悩んだときにこの本を開くと、ヒントがもらえる。僕にとって秘密道具のような1冊です」
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心に響いたのは「だらけた態度は俳優にふさわしくない」という言葉。
「健康管理を完璧に、時間厳守、あらゆる物事にベストを尽くす。役者という職業を超えて、人が生きる上でも大切なことです」
伊藤さんは、役者として忌むべきは「自己満足」だと言う。
「お芝居で一番重要なのは、観る方に喜んでいただくことです。この本を読むといつも、そのためには、一生かけて自分を磨かなくてはと感じます。家族との団欒やケンカ、恋人と過ごす時間や破局、その時々に感じたことすべてが演技の糧になります。だからこそ、人生のあらゆる瞬間を大事にして生きていきたいと思います。なかなか実践するのは難しいですが(笑)」
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伊藤さんは現在、ドラマ『100日後に別れる僕と彼』で、寛一郎さんと共に主演を務めている。原作は、2023年に急逝した浅原ナオトさんの最後の著作だ。
「人の心の揺れや人と社会との関わりを丁寧に描いた素晴らしい小説で、ぜひドラマ化に参加させていただきたいと思いました」
伊藤さんが演じる春日佑馬は、すでに別れた恋人・長谷川樹と、100日間の同棲生活を記録するドキュメンタリーの取材を受けることになる。
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「佑馬は、セクシュアルマイノリティへの理解を広めたいと意気込んでいる。一方で樹は、同性愛も個性の一つとフラットに受け止めている。どちらの気持ちも大切にしながら、佑馬を演じました。樹役の寛一郎君は、本当にナイスガイ。現場では二人でたくさん話をして、その時間が、佑馬と樹の関係性を築く大きな助けになりました」
本作では、仕事に打ち込みながらも悩みを抱える女性ディレクターや、産休中の先輩などにも光が当たる。
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「今の世の中に窮屈さや生きづらさを感じている方も、きっと少なくないと思います。本作の様々な立場の人たちに共感しながら、楽しんでご覧いただけたら嬉しいです」
取材・文:松井美緒 写真:TOWA
ヘアメイク:西岡達也(Leinwand) スタイリング:佐々木悠介 衣装協力:ブルゾン10万1200円(TAGLIATORE/トレメッツォ☎03-5464-1158)、ニット4万7300円(JOHN SMEDLEY/リーミルズ&カンパニー☎03-5784-1238)、その他スタイリスト私物
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いとう・けんたろう●1997年、東京都生まれ。映画『コーヒーが冷めないうちに』(18年)で日本アカデミー賞新人俳優賞、話題賞・俳優部門を受賞。近年の出演作に、映画『静かなるドン』『鬼の花嫁』など。連続ドラマW『コンサルタント―死を執筆する男―』が6月7日より放送開始。

『魂の演技レッスン22 輝く俳優になりなさい!』
(ステラ・アドラー:著 シカ・マッケンジー:訳/フィルムアート社) 2530円(税込)
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俳優教育法の巨匠スタニスラフスキーに直接学んだ唯一の米国人で、マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロら多くの名優を育てた伝説的な演技指導者が、長年培ってきた知見を、俳優の精神を鍛える22のレッスンに凝縮。その言葉は、一般の人々のための人生哲学ともなっている。

ドラマイズム『100日後に別れる僕と彼』
原作:浅原ナオト『100⽇後に別れる僕と彼』(⾓川⽂庫)
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監督:草野翔吾 脚本:三浦直之
出演:伊藤健太郎、寛一郎、鳴海 唯、⼭⽥健⼈、野村⿇純、光宗 薫、⼯藤阿須加、⽵中直⼈
MBS毎週火曜深夜0:59~ TBS毎週火曜深夜1:26~放送中
●パートナーシップ宣誓制度についてのインタビューが注目を集めた、春日佑馬と長谷川樹の同性カップル。同棲生活の密着取材を受けるが、二人はすでに破局していた。カメラの前では恋人を演じることになり……。
©「100日後に別れる僕と彼」製作委員会・MBS
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