
ある小学校で、児童が屋上から飛び降りた。児童は意識不明の重体。現場に残されていた遺書には、いじめ加害者として娘の名前が書かれていた。母・青空翼は娘・茜を問い詰めるが、茜はいじめを否定する。翼は戸惑いながらも茜を信じようとする。なぜなら飛び降りた児童・紫村俊介はかつて茜をいじめていた張本人だったから――。
いじめ加害者とされた側、そして被害者とされた側。それぞれの母親の視点から描かれる『娘はいじめなんてやってない』(しろやぎ秋吾/KADOKAWA)は、「誰を信じるのか」「親は子どもとどう向き合うのか」を読者に問いかける作品だ。
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過去作『娘がいじめをしていました』(KADOKAWA)では、過去にいじめ被害者だった女性の子どもがいじめの加害者になったことで苦悩する心情を描き、話題となった。教壇に立った経験も持ち、現在は2児の父でもあるしろやぎさんに、本作に込めた思いや、いじめというテーマを描く理由についてお話を伺った。
――本作はいじめ被害に遭った児童が屋上から飛び降りるというセンセーショナルなシーンから始まります。学校側の対応も含め、かなり緊張感のある描写ですね。
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しろやぎ秋吾さん(以下、しろやぎ):学校対応については創作の部分も多いです。ただ、ニュースなどを見ていても、「なぜそんな対応を?」と感じるケースって実際ありますよね。そういう“ちぐはぐさ”みたいなものは意識しました。
――俊介が屋上に残した遺書には、いじめの主犯と読み取れる形で児童4人の名前が書かれていました。警察から俊介の両親に遺書がすぐに共有される展開も印象的でした。
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しろやぎ:そこも創作です。取材をしてリアルさを追求することも考えたのですが、それよりも物語を進めて登場人物たちの心情の移ろいを深掘りすることを優先させました。
――物語では、いじめ被害者だと思われていた子が、実は過去に加害者側だったという展開がありますね。
しろやぎ:この部分は、担当編集さんと「いじめられる側にも何らかの背景があるという描き方はタブーなのか」という話をしたことがきっかけになっています。その議論の中で、この設定を思いつきました。
取材・文=原智香
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