街中で声を掛けてもらえる機会が増えた。ライブに来てくれる人、音楽を聴いてくれる人、自分たちのことを好きでいてくれる人がいてこそ、我々は楽しく音楽が出来ているので、心の底からおかげさんです、という気持ち。だからそんな人から声を掛けてもらえると、とても嬉しい。
そりゃもちろん、私もなんの予定もなくぶらぶらしていることはあまりないので、何かしらの予定があって歩いている。なので、物凄く急いでいる時もあったりするが、その時以外はできる限りの応対はさせて頂きたいと思っている。延々とお話をしたりするのは実際問題難しいが、握手をしたり写真を撮ったりなんかは大変に光栄に思うので、是非ともお受けしたい。それがもしもその人の、これからの生活の糧になったりするようなことがあれば、一生懸命活動していて良かったなア、と思える。
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ただこれは、一概に私に限った話であって、別の誰かも同じとは限らない。苦手に思う人も、訳あってお断りしている人もいるので、しっかりと見極めて欲しい。その人の意思と、その場の状況を判断した上で声を掛けるのが良いのではないか、と私は思う。
いやはや、少し前からしたら全く考えられない題材のエッセイだ。ただ、声を掛けてもらえる回数が増えれば増えるほど、考える機会が増えていく。嬉しいことも、難しいことも。
もちろん嬉しいことが殆どなのだが、若干拗らせているなア、と感じることもあるはある。それは、ありがたいんだが、その線越えたら駄目じゃね、みたいなこと。先日、なんの相談もなく急に動画を回されて、「**ちゃん(おそらくその方の知人)にメッセージください」と言われた時は正直辟易した。他の事例もたくさんあるが、なんとなくこういった系譜のものが多い。好意の向け方、表し方の話ね。どれだけ好いてくれていたとしても、不意にカメラを向けられたりしたらあまりいい気持ちはしないでしょう、私も一応は人間であるということをお忘れなく。マナーってより、モラル。
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あア、なんと贅沢な提唱。ありがたいが故に出てくる由々しき問題提起。大丈夫、こういったことにすら、根幹は感謝であるからして、そこら辺は揺るぎないよ。いつもありがとう。
あと、これは微々たることと思っているので、なんてことはない世間話程度に受け取ってもろて、というのが、名前間違い。案外多い。
これ、仕事の現場だったら結構大変だが、私生活において、そしてこちらが一方的に知ってもらっている場合においては、これもあくまで私に限った話だが、なんてことはないと思っている。
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そもそもバンド名さえ覚えてくれてりゃかなりありがたいので、個人個人の名前まで覚えてもらわなくても構わんよ、ってな具合。だから「SUPER BEAVERのボーカルの方ですよね?」とか「SUPER BEAVERさんですか?」とかいった類の声掛けは正直全然悪い気はしない。むしろバンド名だけは把握している、というマス層にまで広がったという証拠に他ならないので、私は初めてこのような形で声を掛けてもらった時、「きたきたー」と小さくガッツポーズをした程だ。
ただ一歩進んで、ありがたいかな個人にまで興味が及んでいる方において、その及び方が一歩に満たない場合、「渋谷龍太」という割と間違えにくく覚えやすい名前も、微細な変化をすることがある。
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最も多いのが「しぶたにさん」。まア、これは本当に仕方ない。「しぶや」と「しぶたに」の2パターンを擁する「渋谷」の方が圧倒的に悪い。幾つもの書き方がある「わたなべ」「さいとう」ほど罪は重くないが、それなりに悪いと思っている。なので「しぶたにさんですか?」と声を掛けてもらった場合、別段訂正もしない。そうじゃないけど、ほとんどそうなので「そうです」って言っちゃう。
次に多いのが、「染谷さん」。これは「そめやさん」も「そめたにさん」もある。なんだろう、正直わかんなくはない。「渋谷」と「染谷」は確実に同じ部屋の住人だと思う、ビジュ近いし。目の前を時速180kmで通り過ぎる「渋谷」と「染谷」は、実質一緒だ。だから、ギリおっけー。ただ声を掛けてくれる人が後に正解を知ってしまった時、手遅れの罪悪感を抱かないようにするために、本当にやんわり「渋谷です」っと訂正は入れちゃう。
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殆どが今挙げた二つ。しかし一度、度し難い間違いをぶつけられたことがある。「あのオ」声を掛けてくれたのは高校生か大学生くらいの男の子。そして会話を切り出す際「SUPER BEAVERの」という枕がついたので、十中八九誤認はないと思われる。ただ、どういうわけかその後突然動きを止めた彼は、おおよそ4秒程経過した後、本当に恐る恐る、そして探り探り私に言った。
「谷川さん、ですよね?」と。
まじで違うので、違います、というのは簡単だった。しかし、おそらく咄嗟のことで一瞬にしていろいろバグっちゃったんだろう。だから切り捨てるようなことはせず私も、彼がどうしてそんな風になっちゃったのかを一度しっかり考えた。名前が飛んだのか、そもそも記憶が朧げだったのかはわからないが、きっと「渋谷」という全体像だけは漠然と浮かんでいたのだ。ただ、この「渋谷」という名字において、どちらかというと印象的な「渋」の字より、「谷」の印象に思考が引っ張られるという珍しい事象に陥った彼は、まずは「谷」の字を頼りに思考を続けた。そしておそらく「渋」の字のさんずいの部分から「川」を想起。これを確定とし、結果、印象的だった「谷」が、歪曲して誕生した「川」を牽引する形になり、「谷川さん」となったわけだ。
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うんうん、んなわけ。この時ばかりは流石に「渋谷だよ」と言っちゃう。
知ってくれてるのが、まず嬉しい。会えたことが何かの糧になるなら嬉しいし、そこに個人としてこちらを慮ってくれる気持ちが見えたら別の角度で嬉しい。
後学の為にね、改めて「渋谷龍太」と書いて「しぶやりゅうた」と読みます。
ロン毛と、フォルムと、歩き方が特徴です。まれに類似品もあるようですが、よく見たら結構違うはずですので、野良で私を見かけたら声を掛けてみてくださいね。よろしくどうぞ。

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