
人気シリーズ「サレ妻になり今は浮気探偵やってます」の一作、『サレ妻になり今は浮気探偵やってます 家族の車が揺れています』(コマ:原作、蒼衣ユノ:イラスト・漫画/KADOKAWA)は、夫から受けた些細な違和感から不倫疑惑が膨らんでいく、実録系コミックエッセイである。
主人公・ナオは、高校の同級生だった夫・カイと結婚して7年目。双子の育児に追われる毎日のなかで、夫の行動に少しずつ違和感を覚え始める。カイは休日出勤が増え、そのたびに社用車ではなく家族の車を使うようになっていた。どうして家族の車なのか。胸騒ぎを覚えたナオがドラレコを確認すると、休日出勤の日の録画だけがすべて消去されていた。
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不倫が発覚するのは、決定的な証拠を見つけるよりも先に、ふとした違和感がきっかけになることがある。帰宅する時間や車の使い方、消された行動記録と、ひとつひとつは言い逃れできそうな出来事でも、それらが重なれば疑惑は確信へ変わっていく。しかしナオは双子の育児に追われる日々で、その不安と向き合わなければならない。裏切られているかもしれないという恐怖と家庭を壊したくないという思い。その板挟みの描写が痛々しい。
「家族の車が揺れています」というタイトルも強烈だ。家族のために使うはずの車が、裏切りの現場になっているかもしれない。その事実だけで、日々の幸せの象徴が一気に不穏なものへ変わる。家、車、休日出勤とどこにでもある家庭の風景が、疑惑によって歪められていく。
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本シリーズらしく、浮気探偵・コマによる調査の様子も読みどころだ。自家用車を使った不倫に気づいた側が、何を確認し、何を証拠として残し、どう動くべきなのかを描き、そのリアリティに単に不倫夫を追いつめる漫画ではない緊張感が生まれている。
そして、夫から毎日のように理不尽なことを言われながら、家族のため、子どものためと耐えて従うしかできなかったナオが、コマとの出会いをきっかけにだんだん強くなっていく姿に勇気をもらえるだろう。
文=馬風亭ゑりん
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