
『サレ妻になり今は浮気探偵やってます ママに内緒だよ』(コマ:原作、蒼衣ユノ:イラスト・漫画/KADOKAWA)は、不倫を疑う妻が、幼い息子の何気ない言葉をきっかけに夫の裏切りへ迫っていくコミックエッセイ。浮気探偵・コマが活躍する人気シリーズ「サレ妻になり今は浮気探偵やってます」の一作だ。
主人公・りんは第二子を妊娠中。育児と家事に追われながらも、夫・ヒロと息子・レンとの生活を守っていた。ところがある日、レンが発した言葉から、りんはヒロが息子を何かに巻き込んでいるのではないかと不安を覚える。一方、ヒロは帰宅が遅くなったり、急に機嫌が悪くなったかと思えば「週末実家に帰ってのんびりしてきたら?」と言い出したりと、不審な行動を重ねていく。自分だけならまだしも、息子まで巻き込んで浮気しているのではないか。そう感じたりんは、探偵・コマに調査を依頼する。
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タイトルの「ママに内緒だよ」という言葉に本作の痛ましさが集約されている。不倫は夫婦間の問題に見えて、実際には子どもをも巻き込む。しかも本作の場合は大人の都合で口止めされ、事情もわからないまま秘密を抱えさせられる。レンの無邪気な言葉が、りんにとっては夫の裏切りを示すサインになってしまうのだ。妻としての怒りだけではなく、母としての「息子を守らなければ」という感情が物語を強く動かしていく。
さらに、ヒロの不倫を確信したりんは、証拠をつかむため再調査を考える。しかし、彼女は第二子を妊娠中であり、証拠を得た後に離婚するか、再構築するかという重い選択にも直面する。怒りに任せて即決できる話ではない。子ども、生活、これから生まれてくる命、自分自身の心。あらゆるものを抱えながら決断しなければならない現実が生々しく、胸に迫る。
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それでも、本シリーズらしく探偵・コマの存在が心強い。揺れ動くりんに寄り添いながら、現実を見極めるための道筋を示していく。不倫によって人生を壊された側が、泣き寝入りせず、自分と子どもを守るためにどう動くのか。本作の一筋縄ではいかない手に汗握る展開を、心して見届けてほしい。
文=ヒルダ・フランクリン
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