
『べつに友達じゃないけど』(やまもとりえ/KADOKAWA)は、かつて同じ教室にいただけの同級生たちが、ある葬式をきっかけに再会し、それぞれの人生と向き合い直していくヒューマンドラマだ。
物語は、41歳になった主人公たち同級生4人のもとに届いた一通の「招待状」から始まる。差出人は高校時代の同級生・水原すみれ。しかしそこに書かれていたのは、結婚式でも同窓会でもなく、「あなたを私のお葬式に招待いたします」という言葉だった。仲が良かったわけではなく、むしろ、ほとんど話した記憶すらない相手。なぜ自分が呼ばれたのかという謎が、読み手を一気に物語へ引き込んでいく。
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案内状が届き再会した4人の現在は、決して順風満帆ではない。夢を諦め日々をやり過ごす者、仕事や子育てに追われ寂しさを抱える者、介護や将来への不安を抱える者。40代という年齢ならではの焦りや諦めを持って生きている。高校時代の消えかけていた記憶が現在の彼らを揺らしていく。
「友達じゃなかった」からこそ見えてくる関係の描写も印象的だ。同じ教室にいただけで深い関わりがなかったからこそ、相手の中に知らない自分の物語があり、誰かの記憶の中で生きていたことに気づかされる。人とのつながりは、時間や頻度だけでは測れないものと語りかける。
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登場人物たちのやりとりの表現も見どころだ。セリフは少なめでするすると読めながら、絶妙に入る「間」によって感情移入しやすく、そしてじんわりと余韻が残る。また、90年代ヒット曲の曲名が各章のタイトルとなっているため、当時高校生だった同世代の人の心を掴んでくるのだ。
果たして「招待状」の差出人は4人にとっていったいどんな関係の人物だったのか。そして何を伝えたかったのか。ぜひ本書を手にとって確かめていただきたい。
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過去には決して戻れないが、あの頃の記憶が今の自分を救うことはある。今、人生が思い描いた通りではなくても、変えることはできるという希望をそっと伝えてくれる作品だ。
文=時任邪武郎
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