
『リストランテ・パラディーゾ【新装版】』(オノ・ナツメ/太田出版)は、ローマの小さなリストランテを舞台に、そこで働く老眼鏡をかけた紳士たちと、ひとりの若い女性との交流を描いた大人の群像劇である。アニメ化もされ大きな話題を呼んだオノ・ナツメ氏の代表作が、20年ぶりにこのたび新装版として蘇った。
本作の主人公・ニコレッタは、母への複雑な感情を抱えながらローマを訪れる。彼女の母・オルガは、かつて娘の存在を隠すために彼女を祖父母へ預け、自分は再婚して新しい人生を歩んでいた。その再婚相手こそ、リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」のオーナー・ロレンツォだ。ニコレッタは母への反発心からすべてを暴露するため店へ乗り込むが、そこで働く人々との出会いによって、少しずつ心を変化させていく。
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本作を象徴するのが「老眼鏡の似合う紳士たち」だ。給仕長のクラウディオをはじめ、店で働く男性たちは皆、落ち着きと色気をまとった中年男性ばかり。若さや派手さではなく、年齢を重ねたからこそ滲み出る余裕や、優しさが描かれている。恋愛漫画でありながら、静かな会話や仕草、食事をともにする時間が中心となっているため、その空気感がたまらなく心地よい。
そしてオノ・ナツメ氏作品らしく、登場人物たちは皆どこか不器用だ。過去を引きずり、言葉足らずで、自分の感情をうまく説明できない。それでも人と関わることで少しずつ変わっていく。その距離の縮まり方も非常にあたたかくて、読後には不思議な余韻が残る。
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当たり前のことであるが、人は若さだけが魅力ではない。大人になったからこそ持てる優しさや色気によって、人間関係に豊かさが出る。本作は、そんな成熟した空気をゆっくり味わわせてくれる名作だろう。
2026年5月22日にはスピンオフ作品である『GENTE~リストランテの人々~』の上・下巻も新装版で登場した。こちらもあわせて読んで、「リスパラ」の世界にどっぷり浸かることを強くお勧めする。
文=時任邪武郎
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