※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年6月号からの転載です。

「欲深い」という言葉には、どこか後ろめたさが漂う。欲望全開のまま生きている人には「ワガママ」「自己中」という視線が向けられてしまうから。だから人は、欲望を我慢しがちだ。でも、もしかしたら私たちは、もう少し好きなように生きてみてもいいのかもしれない。そんなことを教えてくれるのが、人気VTuber・おむらいす食堂さんだ。
「『おむらいす食堂』というのは私の創作活動の名前で、2014年のコミティアに出展したときから始まりました。食べ物の擬人化イラストを描いたり、キャラグッズを作ったりしてきました。その流れで、友人の勧めもあり、VTuberとしての活動もスタートさせました」
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投稿しているのは主に爆食系動画。懐かしの梅ジャムを手作りして食べまくったり、高級柿を食べ比べてみたりと、まさにやりたいことを思うままにやっている。そんな食への情熱と無邪気な喜びが大勢の視聴者に支持され、いつの間にか人気VTuberになったおむらいす食堂さんは、このたび、初の著書となる『甘く、楽しく、欲深く。』を上梓した。エッセイを綴る中でテーマとなったのは、「欲望を肯定すること」だ。
「でも、元々はあまり自分の欲望について肯定的ではなかったんです。というか、好きなものばかりを爆食しちゃうことに対して、むしろ後ろめたさもありました。ただ、そんな私のことを面白がってくれる人がたくさんいて、段々と自己肯定できるようになっていったんです。恥ずかしいと思っていた部分が自分のチャームポイントなのかも、って。本を書いてみて、より一層そう感じました」
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本書に綴られているおむらいす食堂さんの生き様は、どこまでも潔い。好きなものを「好き」と表明し、とことん突き詰めていく。そんな姿から自然と元気がもらえてしまう。
「みんな、恥ずかしいと思っている部分を隠そうとしますよね? でも、そのコンプレックスって開示して良いんだと思います。そういう部分って、実はその人の核になっていたりもするし、遠慮なくオープンにすることで新しいつながりが生まれる可能性だってある。私自身がそうだったので、みんなもっとオープンにして良いんだよ! と思いますね」
一冊の本を書き上げたことで、本当に大切にしていることにもあらためて気づけたそうだ。
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「大学生のころから『おむらいす食堂』という創作活動を続けてこられたのは、常になにかに没頭していたいという気持ちが強かったからなんだと思います。没頭するために、自分の好きなものをさまざまな形で表現しようと思ったんです。そう、根底にあるのは『好き!』という気持ちなんですよ。こうして発信をしている以上、どうしても大勢の人に見てもらいたい気持ちは消えません。ただ、それを最優先にしてしまうと、本来の目的とは変わってしまいます。だから私は、これからも好きなものに没頭する創作をして、共感してくれる人に運良く届くといいな、という気持ちで活動していこうと思います」
「好きなことで生きていく」を体現するおむらいす食堂さんは、今後も創作の世界で存在感を増していくのだろう。
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「VTuberとしての活動はもちろんですが、執筆も続けたいですし、イラストの仕事もやりたい。爆食系動画からもわかるように私は食べることが大好きなので、食の分野でいろんなことができたら最高です」
取材・文:イガラシダイ
おむらいすしょくどう●食をテーマにイラスト、文章、動画を創作するクリエイター。VTuberとしての活動は2021年よりスタート。「好きなものを好きって言う時、恥ずかしさもありますよね。私もです! でも、勇気を出して好きだと伝える創作をしたら、たくさんの人に観てもらえるようになりました。好きなもの、発信していきましょう!」(おむらいす食堂さん)
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おむらいす食堂さんの本

『甘く、楽しく、欲深く。』
(おむらいす食堂/KADOKAWA) 1760円(税込)
好きなものを爆食し、みんなを楽しませる「おむらいす食堂」はいかにして誕生したのか。活動をスタートさせた経緯に始まり、意外な素顔や学生時代のことまで詳らかにしたエッセイ。自由に生きることの素晴らしさが感じられる一冊だ。
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