
老いた親との旅には、ひとり旅や友人との旅とはまた違った尊さがある。『小鳥をつれて旅にでる』(赤夏/主婦の友社)は、その価値をしみじみと感じさせてくれるコミックエッセイだ。
著者の赤夏さんは年に複数回も国内外をひとり旅する、旅のプロ。本作で描かれているのは、人生初となった母との長期旅行の様子だ。
赤夏さんの母親は何十年もの間、夫のモラハラに耐え、“家庭”という鳥かごの中で暮らしてきた女性。だからこそ、著者は母親が楽しめそうな旅を全力で考え、決行した。
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私という子どもがいなければ、お母さんはもっと早く離婚という手段を選べたのではないか…。そんな気持ちを抱えながらの親子旅は、ただほっこりするだけでなく、親と子の絆を考えさせられもする。赤夏さんは、どのような思いで本作を制作し、母との長期旅行で何を思ったのか。話を伺った。
――赤夏さんは、自分たち子どもがいなければ、お母さまが離婚という選択をもっと早く選べたのではないか…と、自身を責めることがあるそうですね。そういう気持ちがこみあげてくる「虐待サバイバー」も多い気がしますが、その感情に飲み込まれないためには、どんなことが大事でしょうか?
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赤夏さん(以下、赤夏):そういった考えで悩まれている方には、何よりもまず家庭環境はご自身のせいではないとお伝えしたいです。
――自分を責めないこと、大事ですよね。あと、赤夏さんのお母さまのように、家族という存在が足枷となり、自分が求める生き方ができない方は年齢問わず、意外と多いように感じます。
赤夏:苦しい家庭環境におられる方には、各ご家庭それぞれのご事情があるので、そこから抜け出すことは本当に本当に難しいことだと思います。人に迷惑をかけることを想像すると、逃げることを躊躇してしまうこともありますし…。
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――そうした方たちには、どんなことを伝えたいですか?
赤夏:ご自分の心身を守ることを優先してほしいです。まずは、ほんの少しでも、自分が安らげる時間を作ってください。喫茶店でひと息つく、信頼できる友人に話すなどでもいいと思います。
自身の心を守れる方法はないか、心身が傷つきすぎて限界ではないかと模索できる時間を持つことで、少しでも良い環境へ向かえることを心より願っています。
取材・文=古川諭香
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