
『キレてるふたりの出張めし』(岩国ひろひと/KADOKAWA)は、全国を飛び回る営業マンと、筋トレを何より愛する新人女性社員が、出張先でご当地グルメを味わいながら騒動を巻き起こすグルメコメディ。仕事漫画、旅漫画、ご当地グルメ漫画、そしてバディコメディと、さまざまな魅力が「全部のせ」された、肩の力を抜いて楽しめる作品だ。
主人公は設備メーカーの営業マン・畑山ひろし。堅実で常識的な社会人である彼が教育係として任されたのは、筋金入りの筋トレマニア・海原たまきだった。海原は商談の場でも食事の場でも、とにかく筋肉第一で物事を考える。効率よりもタンパク質、空気を読むよりもトレーニング。真面目な畑山が振り回される姿はテンポがよく、ふたりの掛け合いだけでも十分に面白い。
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しかし、本作の真価はそこに各地の名物料理が加わって発揮する。設備メーカーという仕事のため出張が多く、訪れる各地の食文化を楽しむことが物語に豊かな彩りと高揚感を与えている。第2巻ではその楽しさがさらに加速する。岩手の「短角牛」、大分の「りゅうきゅう」、広島の「ワニ」など、全国の「ウマくてツヨい飯」が続々登場。商談先で予想外のトラブルに巻き込まれたり、海原の筋トレ愛が思わぬ事態を引き起こしたりしながらも、なんだかんだ仕事をまとめ、最後は土地のうまいものにたどり着く流れが痛快だ。
畑山と海原の関係も見どころだ。上司と部下でありながら保護者と問題児のようでもあり、いつしか信頼できる相棒にも見えてくる。価値観がまるで噛み合わないふたりが、一緒に現場を乗り越えるたび少しずつチームになっていく姿が心地よい余韻を残す。さらに畑山に密かに想いをよせる美川が登場するなど、人間模様も目が離せない。
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働くことはシンプルに大変なことだ。出張は疲れるし、トラブルも起きる。それでも、その先にうまい飯があり、誰かと笑える時間があるなら悪くない。そんな前向きな気分にさせてくれる本作。読めばきっと、次の出張先で何を食べようか考えているはずだ。
文=ソルティ・タムラ
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