
『おおかみいぬのサン 人間と家族になる』(riya/KADOKAWA)は、狼の血を引く「狼犬」のサンと飼い主との暮らしを描いた作品。SNSで人気を集めた作品が書籍化された本作は、超大型犬との豪快な日常をユーモラスに描きながら、動物と家族になることの喜びをまっすぐ伝えてくれる一冊だ。
サンは狼犬らしい精悍な見た目とは裏腹に、すっかり人間の暮らしに馴染んだ甘えん坊。飼い主にぴったりと寄り添い、ちょっかいをかけ、気づけばベッドで一緒に眠っている。その姿は「野生」というイメージからは程遠く、むしろ全力の愛情をぶつけてくる無邪気な家族そのものだ。
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デカい、強い、でもどこまでもピュア。サンが全身で「うれしい」「楽しい」を表現する姿には、思わず頬が緩んでしまうだろう。そして、体が大きいからこその苦労、予測不能な行動に振り回される毎日、そして命を預かる責任という飼い主としての現実もきちんと描かれているため、サンへの愛情がより説得力を持って伝わってくる。動物との生活は癒やしだけではなく、手間も体力も必要なのだと笑いを交えて伝えてくれるところも魅力だ。
加えて注目してほしいのは独特の絵柄だ。著者・riya氏が切り絵作家ということで、美しい紙を重ねたような色彩と、どこかの国の絵本のように民族的なタッチで描かれるサンは生命力にあふれている。この唯一無二の絵によって何気ない日常の様子がいっそう尊く感じられる。
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さらに本作には、サンと出会い家族になるまでのエピソードも描き下ろしで収録されている。出会いは偶然でも、家族になるには時間と覚悟がいる。そして、その先にあるものが「ともに暮らす」ということの幸福感だ。犬好きはもちろん、大切な存在と過ごす喜びを知るすべての人に届いてほしい。読めばきっと、そばにいる相棒をいつもよりかまいたくなるはずだ。
文=松永 慎
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