
『天国での暮らしはどうですか』(中山有香里/KADOKAWA)は、「あの子は今どうしているのだろうか」という問いに、やさしい答えを差し出してくれる一冊だ。第2巻『天国での暮らしはどうですか2』も前作に続き、亡くなったペットや飼い主たちの「その後」をオムニバス形式で描く。天国での暮らしと、残された側の時間が静かにつながっていく様子が印象的だ。
物語の舞台となる天国には「下界池」という場所があり、そこからペットたちは地上で暮らす飼い主の様子を見守っている。自分がいなくなったあと、飼い主がどのように過ごしているのかを見て、安心したり、心配したり、ときにはたまらず行動を起こしたりもする。
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印象的だったのは、お盆に帰ってくる猫の話だ。きゅうりに乗って勢いよく帰ってくる姿には思わずクスッとするが、家に入ると、ケージや餌入れ、ベッドなど、生前と変わらないままの空間が広がっていて、飼い主の寂しさを感じ取り、どうにかして自分がそこにいることを伝えようとする姿がいじらしい。そして飼い主が「もしかして帰ってきているのかも」と気づいたその瞬間、こらえていた想いがあふれ出す。その場面に思わず目頭が熱くなった。
ほかにも、飼い主のことが心配で虹の橋を逆走してしまうハムスターや、別れのあいさつをするまで天国へ行くことを必死に抵抗する犬のエピソードなどでは、どちらも飼い主との絆の強さがまっすぐに描かれている。
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天国ではそれぞれが自由に楽しく過ごしながら、それでも大切にしてくれた飼い主を思い続け、ときどき地上をのぞく姿が描かれる。そんな彼らを見ていると、ペットを亡くしてどうしようもなくなってしまった心がほぐれ「きっとあの子も雲の上で元気にしているんだな」という気持ちにさせてくれるだろう。亡くした人はもちろん、今ペットを飼っている人にも届いてほしい作品だ。
文=坪谷佳保
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