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鏡に映った自分と、映像に映った自分の違いに戸惑った経験はないだろうか? あるいは、録音した自分の声を聞いて覚える違和感など。『あなたの正義 わたしの絶望 ~その「主観」が毒になる時~』(理系女ちゃん/KADOKAWA LifeDesign)は、自分と他人との間に生じる認識のズレをテーマにした短編集である。


物語は、職場の美しい先輩に淡い恋心を抱く男性の視点から始まる。純粋なラブストーリーに見えるが、同じ出来事が先輩側の視点で語られた瞬間、その印象は一変する。この視点の反転が本作の特徴だ。ある人にとっては善意であり正義である行動が、別の人にとっては恐怖や苦痛として受け取られる。自分の中では筋が通っているはずの思考が、他者から見れば危うい執着や暴走に変わる。その落差が、読み手に強烈な違和感と不安をもたらすのだ。SNSで「対比にゾクッとした」などと話題になったのも頷ける。


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