
クイズを通じて「楽しいから始まる学び」を届け続けている知的エンタメ集団・QuizKnock。10周年を記念して刊行された書籍『十字路』(KADOKAWA)には、メンバーの撮り下ろし写真やロングインタビュー、名場面の振り返りなど多種多様な企画が勢揃い。10年かけて磨き上げられたQuizKnockの魅力を網羅した内容で、彼らの素顔をディープに知ることができる。インタビューにはクイズ王の伊沢拓司、ふくらP、須貝駿貴、山本祥彰の4人が集結。本書の見どころなどを語ってくれた。
●十字路の隅っこにいたら、面白い人や出来事との出会いがある
——『十字路』というタイトルにはどんな想いが込められていますか?
伊沢拓司(以下、伊沢):QuizKnockって知の交差点だねって以前から話していたんです。いろんな人たちがすれ違い、出入りする中で、多種多様な知識が行き交って。その交差点の隅っこでコーヒーなんかを飲んでいると、面白い人や出来事との出会いがある。QuizKnockは道であり場でもあるから、QuizKnockで見聞きしたことはきっと未来にもつながると思うんです。これまでに出会った人たちへの感謝と期待を同時に込めた、10周年にぴったりのタイトルになりました。
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——『十字路』を作る上で特に大事にしたテーマとは。
伊沢:やっぱり“All QuizKnock(オールクイズノック)”じゃないですかね。表紙は我々の写真ではなく、ザ・QuizKnockとも言える赤いカラーにタイトルが書かれただけのもの。QuizKnockという看板がいちばん大事、というメッセージを表紙でも伝えられたと思います。
——208ページにわたり、様々なテーマが詰まった読みごたえのある内容です。全部が見どころだと思いますが、その中でも注目ポイントを挙げるとしたら?
伊沢:いちばんは文字の量です。昨年4月に企画が立ち上がった段階で、読み物にしたいという基本テーマがあったんです。とにかく細かい文字が詰まっていて、凄まじい量のチェックを、KADOKAWAさんとQuizKnockの校正・校閲チームが力を合わせてやってくれたんですよね。QuizKnockのチームって心強いなと改めて思ったし、文字量の裏側に透けて見えるALL QuizKnockの力量を、読む側の皆さんにも感じてほしいです。
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ふくらPさん(以下、ふくら):網羅性ですね。QuizKnockってYouTubeチャンネルだけだと思われがちですが、実際はメディアの名前。Webサイトやイベント開催もあるし、メインチャンネルとは別に、ゲームを実況する「GameKnack」や、学びについてより深く 発信する「QuizKnockと学ぼう」もあります。今まで語られなかったところにもフォーカスし、QuizKnockの全体像を掴んでもらえる本になったなと思います。

——制作過程で印象に残っていることは?
須貝駿貴(以下、須貝):写真撮影で「クールな表情を」って言われたんですが、クールな表情が苦手なメンバーもいるわけで…。
山本祥彰(以下、山本):鶴崎(修功)さんね?
須貝:そうそう、鶴崎さん。その顔が睨めっこみたいで面白い、となったり……。みんなであんなふうに集まって写真を撮る機会なんてなかなかない。緊張した顔とか、メンバーの新たな一面を見られたのは嬉しかったし、楽しかったですね。
山本:我々が信じている「楽しいから始まる学び」をどう詰め込もうかと考えたときに、僕が好きな謎解きを、自分の力で作れたことが嬉しくて。しかも、一冊まるまる使った壮大な謎解き。まだまだ終わらないぞ、ここにも楽しさが詰まっているぞと、そういうメッセージを込められたことが嬉しかったです。
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●問いを持つ人なら誰もが刺さるチャンネル
——10周年を迎えてどのように感じていますか?
伊沢:まずは感謝ですね。ここまで続けられたのは応援してくださる人たちがいたからだし、いろんなスタッフがWeb記事やYouTubeを作ってくれたから。毎日を楽しく過ごしていたら10年経っていたという感覚なので、そういう状況を作ってくださった皆さんへの感謝しかありません。
ふくら:え、もう10年? と。『十字路』は応援していただいた皆さんに感謝を伝えるために始まったプロジェクトの一環なのに、逆に皆さんのほうから「おめでとうございます」と言っていただけるので、嬉しい限りですね。
須貝:感謝が前提にある上で、継続は力だなと。続けようと思っていたというより、続いてきたという事実。ここまで続いて蓄えた力があったからこそ、いろんな人たちに囲まれながら10周年を祝うことができている。継続することの大きさを感じています。
山本:いろんな人がいてのQuizKnockだったなと感じます。それがなかったらメディアとして成り立っていなかったと思いますね。その上で、伊沢さんにも感謝だなと。伊沢さんは推進力があるし、伊沢さんの信念に共感してついてきたメンバーは結構多いと思います。
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——伊沢さんはQuizKnockの象徴的な存在でもありますね。そんな存在を見つめながら、この10年間、他のメンバーの皆さんはご自身が進む方向をどのように決めてきたのでしょうか。
山本:伊沢さんって本当にクイズが大好きなんです。忙しくてほとんど休みもないのに、やっとできた休みの日にまでクイズ大会に行ってるんですよ。そんなことしている暇があったら、もっと休めばいいのにって思うくらい。僕もクイズは好きですけど、頑張り続けるのが大変なときや、ちょっとクイズから離れたくなるときって、どうしてもあります。でも「クイズが好き」っていう気持ちでQuizKnockに集まってきているのは事実だから、その気持ちを変わらず持ち続けている伊沢さんはやっぱりすごい。伊沢さんを見ていると、やっぱ好きだよなクイズって初心に戻れる安心感があります。
ふくら:リーダーシップもそうですけど、ついていきたくなるカリスマ性があるなと思っていて。ついていきたくなるように引っ張るのがすごく上手だなって思いますね。本のまえがきとあとがきを読んだときにそう思ったんですよ。応援してくださった方が読んだら「今まで応援してきて良かった」と思ってもらえそうだし、僕自身もクイズをやってきて良かったと思える文章だった。だけど、ギャグはめっちゃ滑るので、コンテンツ作りは僕に任せてほしい(笑)。
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伊沢:分業の良さがありますね! 助かる助かる。
須貝:『東大王』で見ていたとき、僕は伊沢のアンチだったと思います。もちろんクイズが強いことは素晴らしいことなんだけど、番組で伊沢を見ているとなぜか「賢さとは」と考えさせられてしまって。当時は大学院でひとつのこと(物理学)を研究していたので、伊沢の姿を見ていたからこそ、僕がやってきた研究という活動を世の中の人たちとどう分かち合えばいいのかを考えるきっかけになりました。アンチテーゼがあって、テーゼが立ったわけですね。まさにアウフヘーベンで、僕はQuizKnockに入れたから、さらなる高みに行ける。伊沢は素晴らしいリーダーであり、逆に僕こそがリーダーになれるんじゃないかとも思わせてくれる。同じなんだけど反対の存在。そういう意味では、ずっと見ている甲斐があるし、目標でもありますね。
伊沢:ちなみに僕は自分でリーダーと言ったことは一度もなく、フロントマンと言っているんです。なんていうか、バンドで言うと「COUNT DOWN TVをご覧の皆さん…」って言う係。みんな僕よりすごいし、僕がいなくても回るのがQuizKnock。リードしているつもりはないですね。ただ前に立って喋るのが上手だから、QuizKnockの思想を喋る係だと思っています。
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——QuizKnockにはいろんな面があって、クイズ好きはもちろん、メンバーから入っていく人もいれば、エンタメとして入っていく人もいると思います。意外とこういう人も楽しめるよ、というお誘いの言葉をいただけませんか?
伊沢:この10年、クイズの持つパワーに気付かされる日々でした。クイズって、みんなが知ってる、“知らない”を楽しむという古来よりあるエンタメなんです。だから、知ってるから楽しいも、知らないから楽しいもここには存在している。このジャンルならQuizKnockに勝てる、というところはみんなの中にあるはずだと思います。肩書きがいけすかないな、みたいなことを思っても、まずは一本見てほしいなと。原始の「問うて答える」面白さがきっと見つかると思います。もちろん、ダ・ヴィンチを読む本好きの方には、より相性がいいと思いますし、問いを持つ人なら誰もが刺さるチャンネルだと思います。

【QuizKnockの「忘れられない一冊」】
伊沢:『WHYから始めよ!』(サイモン・シネック/日経BP 日本経済新聞出版)っていうビジネス本です。みんな割とWHATで考えちゃうけど、そうではなくてWHYで考えるという基本的な考え方を書いた本。なぜこれをしなきゃいけないのか、なぜここに決めたのか…。2019年頃にみんなで読書会をしたんですが、僕もそのあたりからビジネス的な取り組み方が板についてきました。「なぜQuizKnockをやっているのか」と考えたときに、やっぱり僕らは「楽しいから始まる学び」を追求していて、それを届けるためにQuizKnockがあるし、届けてきた感謝としての10周年がある。まさに今のQuizKnock、そしてQuizKnock10周年プロジェクトにつながった一冊です。
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ふくら:劇団ひとりさんによる『陰日向に咲く』(劇団ひとり/幻冬舎)です。いくつかの短編から成り立っていて、それぞれが独立したお話だと思っていたら、短編同士でつながりがあったり、伏線が他の章で回収されたりするんです。僕はそういう本を読んだことがなく、各章が完結するものだと思っていたので、自分の視野の狭さを思い知らされました。文章の構成も、ページをめくったら1行目に驚くような展開があるなど、とても巧み。当時はすごく面白い本を見つけて一読者として興奮したし、今となっては作り手としても学べるポイントがあります。
須貝:『貴族探偵』(麻耶雄嵩/集英社)っていう小説です。一冊に収められたいくつかの事件の中のひとつにめちゃくちゃ感動して。ネタバレになるから多くは語れませんが、「この話を推理モノだと思っているのは俺だけなのか?」「登場人物はどういう気持ちでこの事件に向き合った?」と考えさせられました。もともと小説もミステリーも好きですけど、これは半端じゃないぞと。相葉雅紀さんの主演ドラマが話題になっていたので、面白いはずだと思ってドラマを見ずに読みましたが、面白さが想像を超えていました。
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山本:『クジラは潮を吹いていた。』(佐藤卓/DNPアートコミュニケーションズ)は、デザイナーの佐藤卓さんが、ご自身がデザインしたものにどういう想いを込めたのかを紹介している本。たとえば口紅なら、商品を使っている人の仕草まで美しく見えるようにするとか、いろんな設計思想が詰まっています。よく考えたら、僕がクイズや謎解きを作るのもデザインなんです。誰かに「こういう気持ちになってほしい」と思ったときにどういうデザインをしたらいいのか、この本が、そういうことを考えるきっかけになりました。今の自分を作り上げた大切な本のひとつです。
取材・文=吉田あき、撮影=後藤利江
ヘアメイククレジット
ヘアメイク:中山八恵 Yae Nakayama
スタイリストクレジット
スタイリング:大瀧彩乃 Ayano Otaki
衣装クレジット
●対象衣装
伊沢拓司様 ニット
ふくらP様 シャツ
須貝駿貴様 ノーカラージャケット/パンツ
●ブランド表記
FRAPBOIS(フラボア)
●問い合わせ先
03-5728-5120
BIGI CO.,LTD.
〒153-8610東京都目黒区青葉台2-1-4 2F

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