
50歳を前に、妻から離婚届を突きつけられた主人公・ケンジ。自分の何がダメだったのかわからない…。そんな傷心の彼が出会ったのは「時間を操れる能力」を持つ青年だった。青年の力を借りてタイムリープしたケンジは、家族との過去をやり直すべく奮闘する。はたしてケンジは家族の関係を修復し、離婚を回避できるのか。
『離婚リセット 妻から別れを切り出された夫』(丸田マノ/KADOKAWA)は、家族の在り方を描くリアルパラドックスコミックだ。夫が家族とやり直せる可能性は? 妻が求めていることは何? 本作の夫婦を例に、離婚カウンセラーでもある「家族のためのADRセンター」代表・小泉道子さんに、離婚にまつわるお話を伺った。
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――本作の夫はまだ若いころ、風邪をひいた妻に「(子どもたちを見ていてもいいが)俺が風邪引いて仕事休んでも文句言わないでね」と冷たく言い放ったことがあります。「仕事を天秤にかけられたら何も言えないわよ」と妻は嘆きますが、このようなやりとりは実際にも多そうです。「仕事」「家庭」どう折り合いをつけていくといいのでしょうか。
小泉道子さん(以下、小泉):どちらを優先ということではなく、バランス感覚が必要です。結婚の際にはしっかりと相手と話し合っておくことが大切ですし、折に触れてすり合わせも必要です。
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「仕事も家庭もどちらも大切にする」といった概念的なことではなく、「◯◯は夫、△△は妻」など具体的な生活のルールにまで落とし込んで話し合っておくのがポイントです。
――本作では「夫が見逃していた妻のサイン」について少しずつ解明されていきます。妻は長い時間ずっと我慢を重ねていたため、心身ともに限界を迎えていました。現実ではどのような「見逃し」「ターニングポイント」が多いでしょうか。
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小泉:病気のとき、子どもがピンチのとき、仕事に復帰して忙しいとき…そんなときに助けてくれなかったことを離婚理由として挙げる女性はとても多いです。さらに夫が産前産後の妻への理解が足りないと、将来に大きな影響を及ぼす禍根を残してしまうこともあります。そういう意味でも、本作の展開はとてもよくできていると思います。
――本作の夫は「仕事と家庭、どちらかを頑張るとどちらかをおろそかにしてしまう」と、自らの思考について吐露していました。やはり両立は難しいものなのでしょうか。
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小泉:性差ではなく個人の資質によるところも大きいですが、男性はこうした両立が苦手な方が多いように思います。女性は結婚や出産を経て、自分を強制的に変えることを求められるケースも多く、その時には価値観も変えていかざるを得ません。
一方で、そのような意識の変化がなく、食事を作ってくれるのが母から妻に変わっただけ、自分はずっと同じように働いているだけ、という意識の方もいるのではないでしょうか。こういう方にとっては、バランスを取ることは難しいのかもしれません。
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取材・文=あまみん

小泉道子(こいずみ みちこ)
「家族のためのADRセンター」代表。家庭裁判所調査官として、夫婦の離婚調停の仕事に15年間従事。その後、民間調停機関「家族のためのADRセンター」を立ち上げる。離婚カウンセラーとして、親の離婚に直面する子どもたちのケアにも力を入れている。
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