
2匹の猫と暮らす40歳独身の安達珠子。ある日インフルエンザで倒れたことをきっかけに「自分にもしものことがあったら飼い猫たちはどうなるのか?」という不安に駆られ、婚活を決意する。しかし性欲がなく、子どもも欲しくない珠子を理解してくれる人はなかなか現れない。そんな中、保護猫施設のボランティアを一緒にしている男性・篠田雅が同じことを考えていることを知り、勢いでプロポーズしてしまう珠子。意外なことに雅からの返事はOK。猫好き同士の交際0日婚が始まるが……。
自身も猫を飼っているマンガ家・たけみゆき氏が友人から聞いた話を基に描いたという『ねこ婚 猫のための交際ゼロ日婚』(KADOKAWA)。猫マンガとしての魅力がたっぷりなのはもちろん、「猫のため」という利害から始まる恋愛抜きの結婚生活を描くことで、これまでの家族の形にしばられず、誰かと一緒に生きることの魅力を描いた作品だ。
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たけさんにマンガのことから結婚生活を維持する秘訣、猫を飼う覚悟など、さまざまなお話を伺った。
――本作を書く上で、特に大変だったシーンはありますか?
たけみゆきさん(以下、たけ):詳しくはネタバレになるので話せないのですが、猫に関して主人公が辛い気持ちになるシーンがあるんです。私自身もそのシーンを描くのが辛くて、筆を進めるまで3日ほど逃避してしまいました。まるでテスト勉強が嫌で部屋の掃除をする子どものように、今する必要のない家事をしていましたね。
――辛いシーンとどのように向き合って描かれたのでしょうか?
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たけ:あまりにも辛いので描いている途中にも泣いてしまって、「誰がこんな辛い展開にしたの? 私だ……」というように、自分で自分にツッコミを入れる日もありました。ただ、どれだけ辛くても避けて通れないシーンだったので、「描かねばならぬ」と自分を鼓舞しながら描きました。
――本作をどんな方に届けたいですか?
たけ:私自身、愛猫家なので、猫好きの方に読んでほしいと考えています。ただ、猫との暮らしを通して結婚・家族愛・生活を共にする人同士の思いやりといったテーマも描いているので、愛猫家だけでなく、たくさんの方に読んでいただきたいです。
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例えば、法律上の結婚ができなかったり、家族との関係に悩んでいたり……。内容はさまざまでも“誰かと一緒に暮らす”ことについて悩んでいる方は多いと思います。家族は人間関係や社会の最小単位だからこそ、悩みも生まれやすいのかなと。ただ、悩みがあるからと言って、家族は悪いものではないはずなんです。ここで言う家族は、「どんな関係でも支え合う人たち」を指す言葉ですが、本作を読んだ後「家族って良いな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
読者の方に「誰かと暮らすのも悪くないよ」というメッセージが伝わったら嬉しいです。
取材・文=原智香
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