
2匹の猫と暮らす40歳独身の安達珠子。ある日インフルエンザで倒れたことをきっかけに「自分にもしものことがあったら飼い猫たちはどうなるのか?」という不安に駆られ、婚活を決意する。しかし性欲がなく、子どもも欲しくない珠子を理解してくれる人はなかなか現れない。そんな中、保護猫施設のボランティアを一緒にしている男性・篠田雅が同じことを考えていることを知り、勢いでプロポーズしてしまう珠子。意外なことに雅からの返事はOK。猫好き同士の交際0日婚が始まるが……。
自身も猫を飼っているマンガ家・たけみゆき氏が友人から聞いた話を基に描いたという『ねこ婚 猫のための交際ゼロ日婚』(KADOKAWA)。猫マンガとしての魅力がたっぷりなのはもちろん、「猫のため」という利害から始まる恋愛抜きの結婚生活を描くことで、これまでの家族の形にしばられず、誰かと一緒に生きることの魅力を描いた作品だ。
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たけさんにマンガのことから結婚生活を維持する秘訣、猫を飼う覚悟など、さまざまなお話を伺った。
――本作の主人公たちは保護猫施設でボランティアをしていますよね。こうした施設を描く上で悩んだポイントはありますか?
たけみゆきさん(以下、たけ):保護猫施設とひと言で言っても、施設によって猫を引き取るための条件も異なっているので、特定の施設のように見えないように気をつかいました。実際に私が住んでいる自治体の保護猫施設を調べて、できるだけ偏りがなくなるように気を付けて描いています。
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――作中で飼い主のいた猫が保護猫になってしまう描写がありました。そもそも、飼い猫だった猫が保護されるのにはどういった理由があるのでしょうか?
たけ:とある自治体で、飼育困難を理由に引き取った猫のうち、7割が飼い主が高齢によって亡くなったり、飼えなくなったりしてしまったケースだったというニュースを観たことがあります。実際に、飼い主の高齢化により飼い猫が保護されるケースは少なくないようです。一方で、私の住んでいる自治体では、「飼うのが難しくなったから」という理由での引き取りはおこなわれていないようでした。
動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)に「動物の飼い主には『終生飼養』の責任がある」と定められています。これは、動物を飼ったら最後まで責任を持って面倒を見るという法律です。終身飼育がどうしても難しい場合は、新たな飼い主を探す努力をするように、と決められています。そもそも猫にとっては環境が変わることがすごくストレスになるので、いち愛猫家としても最後まで面倒を見るか、保護施設を介さず飼い主を探してほしいというのもわかるなと思います。
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――保護猫を引き取るには厳しい条件があると聞いたことがあります。
たけ:独身であったり、高齢であったりすると難しいとは聞きますね。ただ、私は「保護猫を引き取りたい」と思ったなら、まずは「動物・命と暮らす」ことをリアルに考えてほしいと思います。猫がいたら家具で爪をバリバリ研がれますし、セーターも毛だらけになります。ご飯や医療費など、1匹ごとに安くても約200万円かかるとも言われています。猫にかかる諸費用をしっかり払えるのか、真剣に検討してほしいです。
実は、医療技術の向上により猫たちもどんどん高齢化していて、そろそろ猫の寿命は30歳くらいまで延びるのではとも言われているんです。もし仔猫を引き取りたいのであれば、猫が寿命をまっとうする30年先まで自分が経済的にも健康面でも自立していられるか。そういうところをリアルに想像した上で決断してほしいですね。
取材・文=原智香
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