
昭和初期の東京を舞台に、“大切な人”を待ち続ける青年の物語『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』(高尾滋/白泉社)。そのコミックス最新5巻が、2026年5月1日(金)に発売された。あわせて同日には、高尾滋氏が手がける『まほうのおうち』(白泉社)の最新4巻も刊行。いずれも今巻をもって完結を迎えた。
『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』の主人公・藤田金蓉(ふじた きんよう)は、毎週金曜日になると銀座の喫茶室「白鳳堂」を訪れ、決まって二階の窓辺の席に座る。幼少期をともに過ごした英国人の青年・クロードを待ち続けているのだ。
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しかしその待ち人が現れたことはなく、そうした日々の中でいつしか金蓉はほかの客から悩みごとを相談されるようになっていく。基本的に彼は聞き役に徹しているのだが、不思議と問題は解決へと導かれるのだという。
これまでのエピソードでは、金蓉が客の相談に向き合いながら、その背後でクロードとの思い出が語られる構成となっていた。第2巻ではクロードとの生活や別れの日の出来事も明らかとなり、二人の関係を知れば知るほど、再会の瞬間を待ち望む読者も多かったはず。
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今回発売される第5巻では、来る日を心待ちにする金蓉に“ある通知”が届く。クロードの身に起きた悲劇、そして毎週金曜日に喫茶室「白鳳堂」で彼を待ち続けてきた理由――そのすべてが明かされる感動の最終巻となっている。

一方、『まほうのおうち』は作者・高尾滋にとって初のBL作品。埼玉のベッドタウンで暮らす27歳の星碧唯(ほし あおい)と、その恋人・間地孤帆(まち こはん)のゆるやかで温かなスローライフが展開される。
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時に川釣りに出かけたり、ともに晩酌を楽しんだり……。ゆったり流れる二人の生活はどこか心地よい。そんな物語にさらなる彩りをもたらしているのが、この世で孤帆しか知らないという碧唯の“ある秘密”だ。碧唯は夜が明けると体が小さくなり、日が沈むと元に戻る特異な体質の持ち主。1日の半分は手のひらサイズの小人として過ごしており、そんな彼のためにドールハウス作家である孤帆が服を仕立て、住まいを過ごしやすいように整えてきた。
今回発売される4巻でも、穏やかな日々が描かれる一方で、孤帆は自身が参加するミニチュア個展に向けて着々と準備を進めていく。その先で碧唯があるアイデアを思いつくのだが、果たしてその内容とは? 最終巻にふさわしい、幸福感あふれる一冊となっている。
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またすでに告知されている通り、2026年4月28日(火)発売の『MELODY(メロディ)』6月号からは高尾滋氏の画業30周年記念作品『百死壺中君-百死にたまふ壺中の君-』が掲載された。作画を高尾氏、原作を『恋するMOON DOG』シリーズの山田南平氏が手がける同作は、夢のコラボレーションによって生まれた一作。東洋幻想を感じさせる世界観のもと、呪いに侵された若君・芷蘭(ジーラン)と、彼から“ある任務”を任された霍驍(フオシャオ)が織りなす耽美な物語が描かれていく。
完結を迎える『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』『まほうのおうち』と、新たな物語として動き出した『百死壺中君-百死にたまふ壺中の君-』。いずれも必見である。
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