
同居していた80代の母が亡くなり、遺品を整理することになった漫画家の堀内三佳さん。母が気に入っていたものから車椅子、仏具、仕事道具など多岐にわたるものを片付けている間に生まれたのは、母への後悔、そしてそこから得た教訓だった――。実際に母の遺品を整理した体験を綴ったエッセイ漫画『母の遺品整理で学んだ人生を軽くする方法』(竹書房)。その中で経験した物理的な困難から、もう届けられない母への想いまで。感じたこと、そしてそれを「人生を軽くする方法」と題して届けようと考えた経緯を堀内さんに伺った。
――本作はお金まわりのエピソードについても詳しく描かれています。お母さまはお金を使うタイプだったと描かれていましたが、どんなことに使っていたのでしょうか?
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堀内三佳さん(以下、堀内):何かを買うというよりは、人に奢ってあげたいタイプでしたね。晩年は年金生活かつクレジットカードをリボ払いしていたので本当に使えるお金が少なかったし、買い物にもいけない状態でした。それでも人に5000円あげて「これでおいしいものを食べておいで」とか言うんですよ。「お金を使って喜んでもらいたい」という気持ちが強い人でした。
――クレジット会社への手続きを進めるなかで、新たに書類が必要になってもう一度役所に行くことになったとありました。振り返るとどう動くのがスムーズだったと思いますか?
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堀内:亡くなったらとにかくいち早く役所に行かないといけないと思っていたので、まず行ったんです。クレジットカードについてはその時は連絡だけすればいいと思っていて、公的書類が必要だとは思わなかったんですよね。今思えば携帯電話、ガス水道なども含めてまず一度すべてに連絡して、必要なものをまとめてから役所に行けば、もっとスムーズだったのかなと思いますね。ただ今回はクレジットカード会社にリボ払いしていた母の場合の話であって、人によって手続きは違うと思うので。その意味でもまずは電話するのがいいと思います。
――お金の管理について、今は携帯電話やネットを使う場面もあり、生前にお母さま一人でどうにかするのは難しかったのではと振り返っていました。どのくらいの時からお母さまに働きかけたり、一緒に手続きを進めたりすればよかったと思いますか?
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堀内:我が家はもともとすごく貧乏だったんですけど、お金遣いはその時から荒かったんです。私が20歳ぐらいから漫画を描き始めて結構稼ぐようになったのですが、そのお金を全部母に預けて自由に使ってもらっていたんですよね。振り返るとこの時点で良くなかったなと思います。私も母もお金についてしっかり考えていませんでした。私の次女はお金にとってもしっかりしていて、私は次女からいろいろと注意されるようになって、少しずつマネーリテラシーができたんです。私に次女のようなマネーリテラシーがもっと早くあれば、次女が私にしたように母に教えることができたのかもしれないなと思っています。お金のことを厳しく言うのをかわいそうと思ってしまっていたし、今の人よりも世代的に「たくさんお金を使うことで、経済を回す」みたいな考えがあったと思うので、うまくいったかはわかりませんが。
取材・文=原智香
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