
※本書の内容の真似をして生じた体調不良や、その他あらゆる不都合について、KADOKAWA、および著者、監修者は一切の責任を負いません。法律や地域のルール等を必ず確認し、自己責任で行うようお願いいたします。
「外来種が日本の自然の生態系を壊している」というニュースを聞いたことのある人は多いだろう。本作『おいしい外来種 獲って食べてみた』(あおば:著、宮崎佑介:監修/KADOKAWA)は、そんな深刻な環境問題を「増えて困っているなら、獲って食べてしまえばいいのではないか?」という驚くほどポジティブな発想で捉え直したコミックエッセイだ。
続きを読む
著者はこのアイデアを思いつきで終わらせることなく、自らフィールドへ足を運び外来種を捕獲し、丁寧に下処理を施して料理として完成させていく。そんな捕獲のコツや調理方法も詳しく紹介されているのもポイントだ。
そして登場する「お品書き」は、ウチダザリガニのパエリア、アメリカナマズの蒲焼き、ブルーギルのアクアパッツァなど。「泥臭そう」「食べられるの?」と敬遠されがちな生き物たちが、著者の手によってレストランに出てくる一皿のように仕上げられていくところが面白い。特に、国内では厄介者扱いされているウチダザリガニが海外では高級食材として珍重されているという事実は、私たちが持っている外来種のイメージを大きく覆す。
続きを読む
また、本作は単に外来種を取り扱ったグルメ漫画ではなく、外来種が増えた背景や自然環境への影響に触れており、楽しみながらこの問題を考えられる構成になっているのも魅力だ。とはいえ説教くささは一切なく、あくまで体験を通して伝えてくれるため、より身近に感じられるだろう。
外来種問題というテーマをここまで軽やかに、そして前向きに描いている点は見事だ。ただ「問題」として知識を得るだけでなく、命を無駄にしない方法があることに気づかされる。読み終えた後には身近な自然に興味が湧いていることだろう。そしてちょっと変わった体験談が好きな人にもおすすめしたい作品だ。
文=坪谷佳保
記事一覧に戻る