
一度しかない人生の中で本当に大切なものとは? そんな普遍的な問いを描くのが、漫画『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』(うみの韻花/KADOKAWA)だ。
東京に憧れ、上京した主人公の美春。彼女は、東京で暮らせば自分もキラキラと輝く都会の一部になれると信じていた。ところが現実はバイト漬けの貧しい暮らしと、お金持ちの友人への嫉妬に苦しむ毎日。なぜ自分だけうまくいかないのか。やがて美春は、飲み会に参加したり男の人とごはんに行ったりするだけでお金がもらえるよ、と誘われ、ギャラ飲みにのめり込み、そして美容整形に依存していく——。
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「美春は存在したかもしれないもうひとりの私」と語る作者のうみの韻花さんに、美春が体験したギャラ飲みの実態や、自身も繰り返していたという美容整形について、そして本作を通して伝えたい想いを聞いた。
——本作は、東京・港区エリアでの高級パーティーやリッチな日常を謳歌する「港区女子」が、お金を対価にしたギャラ飲みに参加して追い詰められたり、美容整形の沼にハマっていったりと、ややショッキングなエピソードを扱っています。どんな思いで描かれたのでしょうか?
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うみの韻花さん(以下、うみのさん):本作は編集部から声をかけていただいて企画がスタートしました。港区女子は未知の存在でしたが、私自身も夜職をした経験があったからこそ興味が湧く題材で、挑戦したいな、と。「若さと女性の市場価値」というテーマだとも聞いていたので、私がいつも漫画で発信している美容や整形の話も生かせるのではないか、と思いました。
——主人公の美春は「存在したかもしれないもうひとりの私」だったそうですね。主人公像はどうやって構築していったのでしょう。
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うみのさん:私自身も田舎から上京したので、美春と同じような境遇だったんです。上京した美春が、想像していた理想と現実とのギャップに苦しむ姿に共感してもらった上で、美春がどんどん転落する姿を描くようにしました。
美春は港区女子としての生活に染まっていく中で性格が歪んでいきますが、ただの嫌なキャラクターにならないように気をつけています。
——上京したばかりの美春は貧しく、お金持ちの友人たちに嫉妬しながら、自分はアルバイト漬けの毎日を送ります。ネイルをガリガリと噛む癖も印象的でした。
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うみのさん:私自身も上京したてで余裕がなかった頃、アルバイトをしながら、ネイルが剥がれてもほったらかしだったことがあったんです。だから、美春の現状に対する焦りや苛立ち、お金持ちの友だちに対する劣等感からくるストレスを表現したくて。バイト漬けでネイルを直す余裕すらない、というギリギリの状況も表現しています。
取材・文=吉田あき
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