
『何がダサいを決めるのか』(平芳裕子/ポプラ社)4回【全8回】
ファッションの世界では「おしゃれ至上主義」が常識。しかし、世間一般の価値観は少し違うようです。「似合ってないと思われたくない……」「年相応じゃない服は着たらいけない」なんて、見えないルールに縛られていませんか? まるで「ダサい」ことが悪のように扱われるこの空気、一体どこから来たの!? 本書ではそんなモヤモヤを一気に吹き飛ばすべく、服の歴史や社会背景をもとに「ダサい」の正体を徹底解剖します。常識を脱ぎ捨てて、もっと自由におしゃれを楽しもう! 私たちが囚われているファッションの常識をアップデートしてくれる一冊『何がダサいを決めるのか』をお楽しみください!

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「パーカーおじさん」が一段落してから話題となったのは、「カジュアルおばさん」です。こちらは、あるファッションブログが発端となっているようです。ファッションについての話題を提供するブログで、あるとき着こなしのアドバイスが掲載されました。ブログは、読者からのさまざまな悩みに応えて、コーディネートの提案をするものでした。
たとえば、歳を取ると若い頃に着ていた服が似合わない、若い子と同じ服を着ると若作りと思われてしまう、そんな読者の悩みに対するアドバイスが掲載されています。特に大人の女性が避けた方が良いとされるのが、ロゴのついたTシャツやデニムのパンツ、スニーカーなどのアイテムを組み合わせることだとされています。なぜなら、それらのコーディネートを「大人世代が着るとカジュアルおばさん」に見えやすいからだというのです。そこで、別のアイテムを組み合わせることによって、上品できれいなスタイルとなるようなコーディネートが提案されています。
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「カジュアルおばさん」はこの記事のタイトルにある言葉ですが、実はこのとき初めて誕生したわけではありません。カジュアルな格好をする年配の女性を指す言葉として、それまでも使われることがありました。ところが、この記事が注目されるようになると、「カジュアルおばさん」という言葉が一挙にメジャーとなり、この言葉に反応する人々が大勢現れました。
とはいえ、投稿の多くは「カジュアルおばさん」を批判するものではなく、「カジュアルおばさんだっていいじゃない」と、支持を表明するものでした。なかには、自撮り写真を添えて「カジュアルおばさんですが、なにか(問題ですか)?」と問いかけるものもありました。年配の女性たちのカジュアルなスタイルを、「カジュアルおばさん」自身が支持をする、あるいは「カジュアルおばさん」を他の女性たちも応援をするというムーブメントが起こりました。
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TPOに「年齢」は含まれない
「パーカーおじさん」と「カジュアルおばさん」。それぞれ表現は異なりますし、「カジュアルおばさん」は「パーカーおじさん」ほど議論が沸騰したわけではありません。しかし、どちらも年齢とスタイルの関係が問題となったことに変わりはありません。要するに、パーカーやロゴ付きTシャツなどのカジュアルな服を、年配の人が着ることに対する不満や不安というものが、あるようなのです。若い人たちにとっては、自分たちの世代のスタイル(だと信じている服)を大人が真似しているように感じるのかもしれません。あるいは年配の人々のなかには、自分たちの馴染みのスタイルに対する反感を嗅ぎ取っている人がいるのかもしれません。
ファッションに対するアドバイスのなかには、よく「TPOを意識して」というものがありますが、T(時間)、P(場所)、O(場面)のなかには、「年齢」はありません。それなのに、どうも世間は「年齢」にふさわしい服装があると考える傾向にあるようです。そして、年齢に合わない格好をする人々を、「パーカーおじさん」や「カジュアルおばさん」と(自)称して、ダメ出しをする、マウントを取るのです。
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年齢とファッションの関係については、後の章でも取り上げますのでここでは軽く触れるのみにしておきますが、私がこういった、ファッションの炎上を見ていて感じるのは、なぜ人は他人の服装がそんなに気になるのか?ということです。
当たり前ですが、服は自分が着ているものです。小さい子どもも周囲の大人に服を着せてもらっています。今、自分が着ているこの服は、他人が着ているわけではありません。そして他人がそこで着ている服は、今自分が着ているものではありません。着ているのは他人です。なのになぜ、他人の服が気になるのでしょうか?
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