
『おなかよわい子ちゃん 万年不調な私の胃腸が教えてくれたこと』(鳥頭ゆば:著、小幡泰介:解説/KADOKAWA)は、いわゆる「おなかよわい民」の日常を、コミカルかつ温かいタッチで描き出した作品である。
主人公のポポ美はどこにでもいる会社員だが、人知れず抱えている悩みがあった。それは、約1年前から続く原因不明のおなかの不調だ。電車に乗ったとき、仕事で緊張したとき、食事後など。そのような場面で腹痛に襲われるためにいつも不安と隣り合わせで暮らしている。トイレの場所を気にしながら行動し、「もし今腹痛になったらどうしよう」と常に考えるといった姿に共感する人は多いかもしれない。
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ポポ美はいくつもの病院を受診する。しかし「ストレス」や「胃腸炎」といった診断を繰り返され、はっきりとした原因がわからず、もどかしさも抱えることに。医師にもわからない病気なのかもという不安を感じる中、職場の後輩の言葉に背中を押されて心療内科を受診。そこでポポ美は、ストレスが関係する過敏性腸症候群(IBS)と診断される。長く続いた不調にようやく名前がついたことで、自分の状態を受け止め、前を向けるようになるのだ。医師がポポ美に送った「薬は悪ではない」という言葉は、薬への抵抗感や心の不調を認めることへのためらいを抱える現代人にとって救いとなるはずだ。
また本作は、消化器内科医によるコラムも収録されており、過敏性腸症候群の基礎知識や日常生活のなかでできる対策、食事の工夫などがわかりやすく解説されている。読み物として楽しめるだけでなく、実生活で役立つ内容となっているのも大きな魅力である。
もちろん腹痛の原因は人それぞれだが、ポポ美と同じような症状で悩んでいる人は何か光明が見えるかもしれない。
文=坪谷佳保
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