
『生きるのがしんどい女が「幸せになれそうなこと」をやってみる話』(タワシ:著、ゆうきゆう:監修/KADOKAWA)は、生きる気力を失った女性が「少しでも幸せになれそうなこと」をひとつずつ試していく姿を描いたコミックエッセイだ。
主人公は35歳の独身女性・多和志田たわ子。友達はいない、仕事はほぼしておらず、でも実家にも頼れない。将来への希望が見えないまま「もう死にたい」と思うほど生きることに疲れてしまっている。そんな彼女が思いついたのは「幸せになれそうなこと」をとにかく試してみるという方法だった。
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高級かき氷を食べてみる、スパイスカレーを作ってみる、さらには気球に乗ったりゴミ拾いボランティアに参加したりしてみるなど、たわ子は思いつくままにさまざまなことに挑戦していく。どの体験も「人生を変えるようなことなのか?」と思うかもしれないが、小さな経験の積み重ねが、彼女の気持ちを少しずつ動かしていくのだ。
ただ人生を変える特別な出来事を描くのではなく、むしろ日常の中にある「小さな楽しみ」を拾い上げていくことに目をつけたところに本作の意義がある。落ち込んでいるときほど、どうしても「何もできない」「何をしても無駄」と考えてしまいがちだ。しかしそんな状態でも「とりあえずやってみる」という小さな行動が、心を軽くすることを教えてくれる。さらに、精神科医・ゆうきゆう氏による解説も収録され、メンタルケアのヒントが示されているのもうれしい。
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重いテーマを扱いながら、ユーモラスでライトな描写に終始するのもポイントだ。たわ子が落ち込んだとき、そばに現れる1対の孟子像。何かと思えば「もう死にたい(孟子2体)」ということなのだが、その表現だけで救われる読者もいるはずだ。
生きることがつらいと感じるとき、まずほんの少し楽しそうなことをひとつだけやってみる。この小さな一歩が、思いがけないブレイクスルーを生むかもしれない。本書は、そんな希望をそっと差し出してくれている。
文=七井レコア
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