
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
ある日、突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。おねしょをする、父親の健に触られただけで嘔吐するなど、普段とは明らかに違う様子が続いていた。病院に連れて行ったり、学校や周囲に聞きまわるも、理由が分からず、悶々とした日々を過ごしていると、英子のもとに警察から電話がかかってきて――。
息子の性被害事件と戦う家族の姿を描いた漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)。著者は、虐待や毒親に関するコミックエッセイを手がけ、自身もトラウマ治療中と語る漫画家のあらいぴろよさん。
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おぞましい性犯罪に、深い傷を負う勇。さらには、加害者の衝撃的な過去も明かされ――。そんな中、英子はあらゆる支援や家族によるケアで息子を救おうとする。性被害に限らず、すべての傷ついた人たちに送る本作について、著者のあらいさんに話を伺った。
――本作をどのような経緯で制作されたのですか?
あらいぴろよさん(以下、あらいさん):編集者さんから「男児の性被害をテーマに本を描いてほしい」と声をかけていただきました。その時、性加害についてお詳しく、本もたくさん刊行されている斉藤章佳先生に監修をご依頼したいと思っていると伺って。私は『「小児性愛」という病 ―それは愛ではない』(ブックマン社)という先生の著書を読み、丁寧に描かれた加害者心理に感動していたので、こちらからお願いするような勢いで、お引き受けしました。
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私自身も性被害者として長く苦しんでいることもありますが、「性被害に遭わないように注意しよう」という声はよく聞くものの「もし遭ってしまったら?」に関する本って、本当に少ないなと思って。そのアンサーコミックを描くことで、みなさんに少しでも役立ててもらえればと思ったんです。
――本作は男の子の性被害を描いた稀有な漫画だと思いますが、最初にテーマを聞いたときにどう感じましたか?
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あらい:「男児も性被害に遭うことはある」ということは最近になって周知されていますが、まだ実感がない人も多い。男児でも女児でも、ごく一般的な、ちゃんとコミュニケーションが取れているような家庭でも、被害に遭うことはあるということを描ければと思いました。
加害者って、どこにでも良い人の顔をして潜んでいるものなんです。それと、加害者のなかには、自身も性被害に遭っていたというケースもあり、その点も盛り込みたいと考えました。法務省による調査によると、非行少年の約半数が被虐待経験あることが明らかになったそうです。性被害に遭った人が適切なケアをされず、自らも犯罪に手を染めるというケースもあるそうで。だからといって、逆境体験のある人がみな、罪を犯すわけではありませんし、加害者を許す、受け入れることはできないのですが。
取材・文=吉田あき
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