
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年5月号からの転載です。

おお、文芸書がいっぱい! 2月のベストセラーリスト(総合)を見て思わず呟いた。3位に直木賞受賞の『カフェーの帰り道』。東京・上野のカフェーを舞台に、女給たちと彼女らに縁のある人びとを描く短編の連作。関東大震災後から第二次世界大戦後にかけての時代と人情が行間から染み出てくる。
7位『青天』はオードリー若林が挑む初めての小説。アメフトを題材にした青春小説だ。18位『生きとるわ』は又吉直樹6年ぶりの長編小説で話題騒然。そのほか、『イン・ザ・メガチャーチ』『変な地図』『暁星』『成瀬は都を駆け抜ける』もリストに。
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4位『大河の一滴 最終章』は五木寛之のエッセイ、いや随筆あるいは評論と呼びたい。著者の人生観、世界観が平易に述べられている。『大河の一滴』が幻冬舎から刊行されて大ベストセラーになったのは1998年。その後、長く読み継がれてきた。ちなみに五木は幻冬舎の名付け親である。
8位『デコピンのとくべつないちにち』は大谷翔平による初絵本。デコピンはいま世界でいちばん有名な犬だろう。なお、大谷はこの収益をすべて慈善団体に寄付し、ポプラ社も売上の一部を動物保護団体に寄付する。
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コミックは『ミステリと言う勿れ』(16)が1位だが、1月発売の『キングダム』(78)と『呪術廻戦≡』(1)も5位6位で前月に続いてリストに入っている。
文庫では原田ひ香『喫茶おじさん』が7位で登場。主人公は早期退職した中年男性。純喫茶巡りを趣味にしようと思い立つ。現代人が抱えるさまざまな問題を、明るくユーモラスに描いて共感を呼ぶ。
文:永江 朗
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読者が選ぶ 今月読んで面白かったおすすめ本
■一般
★1位『成瀬は都を駆け抜ける』

○常人の枠を超えた才女成瀬に凡人の嫌味や皮肉は全く通用せず肩透かしをかわされていく様が痛快。自分は成瀬の友人坪井タイプなのでこんな人が身近にいたらどんなに良かったか、とうらやましい。(65・女)
○終わるのが残念。もっと読みたい。(56・男)
★2位『グレタ・ニンプ』
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★3位『咲良は上手に説明したい!』
■文庫
★1位『テミスの不確かな法廷』

○「普通」という枠に収まらない安堂さんが、不器用ながらも真実を掬い上げようとする姿には、最後には温かい勇気をもらえました。(29・女)
○土星人と自称する理由を地球の自転スピードとの関係性で説明する箇所は妙に納得してしまう。(67・男)
★2位『国宝 上 青春篇』
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★3位『わたしは今すぐおばさんになりたい』
■コミック
★1位『花よりも花の如く』(24)

○もう20年以上続いてきた能についてのマンガがとうとう完結。このマンガで能に興味を持ったので感激もひとしおです。素晴らしいマンガでした。(44・女)
○クライマックスの道成寺、最高でした!(38・女)
★2位『税金で買った本』(18)
★3位『ハクメイとミコチ』(14)
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