
『うちの猫は今日も塩対応』(のなか海/KADOKAWA)は、著者と実家の飼い猫との日常を描いたコミックエッセイだ。愛想がないどころか、すぐ怒り、暴れ、そしてとことん塩対応。それでもなぜか憎めないし、むしろ愛おしく思えてしまう。そんな猫との不思議な関係を、ユーモラスな視点で綴っている。
物語の中心は著者の実家で暮らす13歳の猫・キキ。触ろうとすれば怒られ、話しかけては無視されることもしばしば。ツンデレどころではない、かなり本格的な塩対応の連続だ。それでも著者は、キキの機嫌をうかがいながら、あるいは時に強引に、果敢に日々の攻防を繰り広げていく。猫と人間のコミュニケーションが、心理戦のように描かれるところが本作の面白さだ。
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例えば、著者が水を用意しても気に入らなければまったく飲まないのに、お腹が空いている時はごはんのためにお座りまでする。そんな猫ならではの気まぐれな行動と、それに困惑する著者とのやり取りがコミカルなタッチで表情豊かに描かれる。猫と暮らしている人なら「うちも同じだ」と思わずうなずいてしまうような猫あるあるもありつつ、飼い主の思惑を軽々と裏切るキキの自由奔放な振る舞いが笑いを誘う。
猫は人間の思い通りには動かず、その自由さや気まぐれさが最大の魅力である。そして、キキの塩対応の裏にあるのは、長い時間をともに過ごしてきたからこその信頼感だろう。著者もまた、怒られても振り回されても、結局はかわいいから全部許してしまうのだ。そんな絶妙な距離が羨ましくも思えてくる。
猫好きはもちろん、これから猫を家族に迎え入れたいと考えている人におすすめの一冊だ。
文=ルシファー・Y・イノウエ
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