
※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
ある日突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。理由がわからず数ヶ月経った頃、おぞましい事件に巻き込まれていたことが判明し――。
漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)は、息子の性被害を知った家族が、周りの支援を受けながら事件と向き合おうとする。けれども、自分を責める勇の具合はますます悪くなり、明るかった家族は崩壊に向かい……。
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監修を務めたのは、精神保健福祉士/社会福祉士であり、西川口榎本クリニックの副院長を務める斉藤章佳氏。最近増加するSNSを通じた性犯罪の手口や、性加害者の認知の歪み、性被害を避けるためにできることなどをうかがった。
――勇は、学校の友だちがSNSでつながった相手から性被害を受けました。みんなでゲームをしたあとにアダルトコンテンツを見せられ、被害を受け動画を撮られ、誰かに言ったら動画をばらまくと脅されました。親世代の私たちの頃とは、犯罪の手口も背景も変わっているのだろうと感じました。
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斉藤章佳さん(以下、斉藤):SNSやネット配信のゲーム、アプリなどからアクセスしてくる小児性犯罪者は年々増加している印象です。顔見知りでない子どもに対してアクセスするケースと、面識がある相手にアプローチしてくるケースと両方あり、子どもたちの界隈でも実際に起きています。今問題になっているのは、盗撮したものを生成AIで加工し、児童ポルノとして販売などを行う性的ディープフェイク。子どもたちが販売しているという事例も起きています。最近は、直接的ではない、デジタルにおける性暴力の相談が増えています。
――実際、加害者はどんなふうにアクセスしてくるのでしょうか。
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斉藤:今は、スマホがあれば未成年でも匿名で参加できるようなコミュニティが、ネット上で無数に存在しています。私の中学1年生の息子は古銭が好きで、フリマアプリなどで見つけては購入したいと相談してきますが、有害サイトにアクセスしたことがあったんです。スマホにフィルターをかけていたのですが、それを解除できるテクニックをネット上で知ったようです。それもあって最近は、使用したコンテンツの利用時間を可視化したり、定期的に検索履歴をチェックするなど、スマホの中身をシェアリングするのをルールにしています。
――フリマのような一般的なアプリにも、加害者が潜んでいる可能性が…?
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斉藤:そうですね。コミュニティが大きいほど、加害者が潜んでいる可能性は高いです。息子も古銭のコミュニティに3つくらい参加していて、まったく知らない人にも自分が中学1年であることを伝え、やり取りしていました。うちは幸い被害にあうようなやりとりはありませんでしたが、加害者はターゲットを見つけると、個別DMを送ったり、メッセージアプリでアカウント交換を持ちかけたりして近づいてきます。
――性加害者になりえる人物と、いとも簡単につながってしまうのですね。
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斉藤:はい。ですので息子には、不特定多数のコミュニティに参加するときは必ず親に伝えるルールを設けていましたが、子どもは禁止されるとやりたくなりますよね。加害者からすれば、格好の獲物です。漫画と同じように、好奇心を満たすために、SNSに参加したり、SNSを通じて見知らぬ大人に会ったりするようなことがあると思うのですが、息子には、男の子もターゲットになりうることを伝えています。
取材・文=吉田あき
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斉藤章佳:
1979年生まれ。大学卒業後、国内最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」にソーシャルワーカーとして勤務。現在、西川口榎本クリニックの副院長。25年にわたり、アルコール依存症、ギャンブル、薬物、摂食障害、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニアなどさまざまなアディクション(依存症)問題に携わる。専門は加害者臨床で、3500人以上の性犯罪者の再犯防止プログラムに携わる。著書に『「小児性愛」という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)、『子どもへの性加害-性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)、『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)、最新刊に『10代のための「性と加害」を学ぶ本: 暴力の「入口」「根っこ」「しくみ」を知る包括的性教育マンガ』(時事通信出版局)などがある。
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