
自分は何のために生きているのだろう、と悩むとき。すぐそばに、大好きな存在がいてくれたなら…。『君のためなら生きてもいいかな ハムスターのうにさんと私』(松村生活/KADOKAWA)は、うつ、線維筋痛症、メニエール病など様々な病を患い、休職して心が折れていた「私」が主人公。「私」がハムスターの「うにさん」と出会い、共に過ごす中で生きる力をすこしずつ取り戻していく。
うにさんの可愛さに癒され、うにさんに背中を押される「私」に共感する声が止まない感動のコミックエッセイだ。そんな本作の著者・松村生活さんに、約3年にわたるうにさんとの生活を振り返りながら、ご自身の病気のことや現在の心境などについて語ってもらった。
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——本作では、言い回しのひとつひとつが面白いなと感じました。クスッと笑えるシーンも多かったです。
松村生活さん(以下、松村):コミカルなものは好きですね。たぶん途中で気恥ずかしくなるんだと思います。それで、おちゃらけた雰囲気を入れたくなるというか。あんまり暗くなりすぎるのが好きじゃないのかなと。
読者さんから「松村さんのギャグ面白いです」と言われ、私はギャグが得意なのか…と思って増やした結果、多くなっているのかもしれません。
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——笑えるポイントがあるからこそ、悲しい場面でも希望を感じるというか。主人公の顔もいつも笑っていますし…。
松村:これは私でもありますが、いわゆるモブキャラです。名前は市民ちゃん。私も市民だから、エッセイ漫画を描くときはこのスタイルで描こうと。人間の抽象化というか、笑っているけど何を考えているかわからないような生き物です。
市民ちゃんの顔が外れるタイミングがあって、取り繕えなくなった状態のときに顔が出てくるっていう表現です。
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——描き下ろしではうにさんとの出会いも描かれていますが、「これだけは書籍に入れたい」と思ったエピソードはどれでしょうか?
松村:ファンタジーのように思われるかも…と思って迷ったのですが、うにさんが亡くなったときに見た夢の話を入れました。私は定期的に夢に知っている人が出てきて、よくあるのは母方の死んだ祖父が出てくる夢。夢の祖父の言った通りにするとうまくいくことがあって。
大体の夢は起きたいと思ったら起きられるんですけど、重要な夢では起きられず、最近会ってない人や死んじゃった人とか出てきて、何かあるのかな…と考えることがあるんです。この時もうにさんが出てきて、起きたら死んじゃってたので…。ただ、夢で会えて嬉しかったです。
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——夢の中でうにさんは、ハムスターではなく人間の姿で登場していましたね。
松村:そうなんです。何か喋ったわけではないし、うにさんを感じさせる姿だったわけでもないのですが、その人を見た瞬間に「うにさんだ」とわかって。不思議な夢でした。
取材・文=吉田あき
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