
夫に対する不満や怒りをSNSに匿名で投稿する妻たちがいる。社会的に話題となった「#旦那デスノート」。そのハッシュタグに着想を得たのが、「#夫デスブック」という投稿をしながら、夫が消えることを願う妻の物語『夫の死を願ったらダメですか?』(草餅よもぎ:原案、まきりえこ:作画/KADOKAWA)だ。
夫や義母のモラハラに苦しむ妻・梨央はSNSに投稿される「#夫デスブック」に共感。そこには多くの妻たちの夫への不満や、やり場のない怒りがぶつけられていた。夫の不倫が発覚したことをきっかけに梨央も投稿するようになり、似た境遇の人々との交流が始まる。しかしある日、現実で一線を越えようとする夫デスブック友だちが現れて……。
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原案者である草餅よもぎさんは自身も夫のモラハラに悩み、離婚。自身の経験をどのように作品に落とし込んでいったのか。本作に込めた想いを伺った。
――今も配偶者のモラハラで悩んでいる方はいらっしゃると思います。そんな方に声をかけるとしたらどんなことを伝えたいですか?
草餅よもぎさん(以下、草餅):毎日理不尽な言葉を浴び、我慢をし続けるのは本当にお辛いと思います。お金や子ども、家のこと……離婚が簡単にできない現実も痛いほどわかります。でも、残念ながらモラハラは本人の自力で治ることはほぼありません。地獄のような毎日を変えるには、どこかで勇気をもって行動するしかないと思います。どうか自分の心の声を無視せず、「私が悪いんだ」と思い込まされる前に信頼できる友人や場所、SNSなど外の世界と繋がってみてください。あなたの人生はあなたのもの。自分自身を見捨てないでほしいです。
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――本作を描く中で難しかったのはどんなところですか?
草餅:主人公が悪に見えないよう、心理描写には細心の注意を払いました。モラハラ被害に遭っていると、世間からは「被害者側にも非がある」と責められることが少なくありません。さらに主人公が夫の死を願いSNSに書き込む姿は、一見すると「ひどい妻」「夫と同類」と映るリスクもあります。だからこそ「なぜそこまで追い詰められたのか」という過程を丁寧に描き、読者が納得できる心理的なリアリティを突き詰めました。
――確かに。主人公の辛さがこちらまで伝わってきました。
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草餅:文章だけでは伝えきれない絶望感や空気の重さを、作画を担当してくださったまき先生が見事に形にしてくださったのも大きいです。主人公の切実な痛みが、よりダイレクトに読者の方へ伝わったと思います。ネームが届くたびに、私自身、いち読者のような気持ちで「すごい…!」とのめり込んで読んでしまったのを覚えています。
取材・文=原智香
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