
『4人の女を同時に妊娠させた夫』(サレ妻さおり:原作、モチ:漫画/KADOKAWA)は、衝撃的な夫の裏切りによって、平穏だった生活を壊される妻の姿を描いた物語だ。
穏やかな結婚生活を送っていた妻・ユヅキと9歳年上の夫・タカオ。2年ほどたち、夫は「週末は仕事」と言って家を空けることが増えていた。そんなある日、1枚のエコー写真が自宅のポストに届く。さらにユヅキの前に突然ナナと名乗る女性が現れ、「あなたの夫の子どもを妊娠しています」と告げてくるのだった。エコー写真のこともありユヅキは激しく動揺するが、夫に相談すると、以前に付きまとってきた女性のいたずらではないかと言う。
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信じたい気持ちはあるものの、夫が女性の名前を呼びながら電話をしている姿を目にしたユヅキは不安を拭うことができず、夫のカバンにボイスレコーダーを忍ばせる。すると不安は的中しており夫は浮気をしていた。しかも相手はひとりではなく、複数の女性と同時進行で関係を持っていたことに加え、その女性たちを全員妊娠させていたのだった――。
夫・タカオは、単なる浮気性な「クズ夫」の範疇に収まらない不気味な人物だ。穏やかな仮面を被りながら複数の女性を同時に操り、洗脳に近い状態で自分の思い通りに動かしていた。そして夫の要求はエスカレートしていき、ユヅキはモラハラや自宅での監禁という、過酷な状況に追い込まれていく。物語の後半で明かされる、夫の歪んだ思想と不倫相手との関係を知ると背筋が凍るだろう。果たしてユヅキはこの男と決別し、人生を取り戻すことができるのか。
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刺激的なタイトルに惹かれて読み始めた人も、気づけば主人公の心情に寄り添い、恐怖しながらページをめくってしまうはずだ。人間の底知れない欲望と、そこから立ち上がろうとする強さを描いた、最後まで目が離せない物語である。
文=つぼ子
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