
「お母さんと2人でお父さんから逃げてきてん」。小学生の時、複雑な環境で育つ同級生・ナルミと仲良くなったカヨコ。しかしナルミは突然いなくなってしまう。大人になり、民生委員という地域を見守るボランティアとして活動するカヨコの前に、18歳の母親・アカネが現れる。アカネはナルミに瓜二つ。カヨコはアカネにナルミを重ね、民生委員の仕事範囲以上に彼女を助けようと奮闘する――。
自身も民生委員、そして子育て世代に特化した支援を行う主任児童委員として活動するきむらかずよさんが描く『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』(KADOKAWA)。無縁社会に落ちてしまった母と子どもを描いたセミフィクションエッセイだ。孤立した母親が育児困難に陥り、育児放棄・虐待などの事件を起こしてしまう場合もある。本作はそんなきっかけにもなり得てしまう、子育て中特有の孤独や不安に焦点を当てた一冊。本作について、民生委員として見つめてきた社会から孤立した子育てについて、著者であるきむらさんに話を伺った。
続きを読む
――きむらさんは現在、主任児童委員として活動されているとあとがきにありました。主任児童委員とはどんなことをされる役割なのでしょうか?
きむらかずよさん(以下、きむら):民生委員という地域に根付いたボランティアがどの地域にもいるのですが、その中で子どもや子育てに特化したまとめ役ですね。子育てサロンを運営したり、小学校とか地域でお祭りがある時にブースを作って子育て中のお母さんたちを対象にイベントをしたり。そんな活動をしています。
――まずは民生委員になったということですよね。民生委員になろうと思ったきっかけは?
続きを読む
きむら:私は保育士の資格を持っていまして、幼稚園の保育補助として働いていたんです。そこで地域の方から「こういうボランティアをしているのですが、ちょっとお手伝いしていただけないでしょうか」と言われて。それがきっかけで民生委員を始めました。
――主人公カヨコを現在きむら先生が活動している主任児童委員ではなく、民生委員にしたことに理由はありますか?
きむら:主任児童委員は知名度が低いですよね。主任児童委員より民生委員の方が「聞いたことがあるな」という方が多いのではないかと思って民生委員にしました。ただ実際カヨコがやっていることはほぼ主任児童委員の活動領域ではあります。私自身、主任児童委員としてはまだまだひよっ子でベテランの民生委員の方に手伝ってもらうことも多いですし、ほぼ一緒に活動している状況なので、間違いではないかなということで主任児童委員にしました。
取材・文=原智香
記事一覧に戻る