
「ゲーム依存症」に陥った夫と、それに振り回される家族の姿を描いた物語『子どもの命よりソシャゲが大事ですか?』(aco:原作、茅野:漫画/KADOKAWA)。
妻・清美を悩ませているのは、家事も育児もせず、ソシャゲに夢中になる夫・達也の存在だ。夫は、娘のための大切な貯金から87万円もゲームに課金していた。どんなにスマホから引きはがそうと苦心しても、夫は嘘に嘘を重ねてゲームの世界にのめり込んでいってしまう。
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やがてゲーム依存をきっかけに、夫は道を大きく踏み外してしまうことに…。その時、妻は? 娘は? 本作の家族を例に、離婚カウンセラーでもある「家族のためのADRセンター」代表・小泉道子さんに、依存症や離婚についての話を伺った。
※『子どもの命よりソシャゲが大事ですか?』のエピソードをもとにインタビューを行っています。依存症についての詳細は専門機関などにご確認ください。
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――本作の夫は趣味のソシャゲには多額の課金を行いますが、家族には節約を強いており、非常にアンバランスだなと感じました。家族へ必要以上の節制を求めることは、経済的なDVなのではと感じます。
小泉道子さん(以下、小泉):まさに経済的DVだと思います。本来、家計管理は夫婦が平等な立場で管理の方法やお金の使い方を話し合い、決定していくべきものです。そうではなく、一方的に節約を強いられるというのは理不尽だと感じる人が多いのではないでしょうか。
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――妻や子どもが、夫からの経済的DVに対抗する術はあるのでしょうか。
小泉:妻の方が夫より収入が多い場合、ある程度妻が舵取りできるかもしれません。また専業主婦であっても、「改善してくれない場合は別居、離婚」という覚悟で話し合いをすることで、夫が交渉に応じてくれる可能性もあります。
ただ現実的には、自分の収入は自分で管理しているけれど、生活費の全てをまかなうことはできず、夫の協力なしには生活が回っていかない。自分の親から援助してもらったり、独身時代の預貯金を切り崩したりしながら、経済的DVに耐えているという人もいらっしゃると思いますし、離婚すればもっと生活が苦しくなるため「改善してくれなかったら離婚する」とは言えない人もいるでしょう。
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経済的に自立し、夫の節約の呪縛から解き放たれ、自分の価値観で金銭を使っていくことが一番の対策になるのかもしれません。
――お金が原因で離婚になる場合、財産分与や慰謝料などは請求できますか?
小泉:夫の課金額が明確な場合、その金額を「あったはずのお金」として夫婦の共有財産に加え、その金額を財産分与として2分の1ずつにするという方法が考えられます。
一方で、現実はそう簡単にはいきません。夫婦それぞれに自分の好きに使えるお金の範囲があると思いますので、その課金額を全て差し引くのかが問題になります。そもそもお金が問題で離婚する場合、分与するほどのお金が残っていないということも多いです。
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慰謝料については一般的にDVや不貞での離婚が対象となるため、請求が難しいかもしれません。経済的DVや精神的DVも慰謝料の対象となるDVに含まれますが、暴力が伴うDVに比べて立証の難しさがあります。また、価値観の違いもあるため、自分が「これは経済的DVだ」と思っていても、裁判官がそう判断してくれるとは限りません。
取材・文=あまみん

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小泉道子(こいずみ みちこ)
「家族のためのADRセンター」代表。家庭裁判所調査官として、夫婦の離婚調停の仕事に15年間従事。その後、民間調停機関「家族のためのADRセンター」を立ち上げる。離婚カウンセラーとして、親の離婚に直面する子どもたちのケアにも力を入れている。
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