
主人公・秋山紅葉(もみじ)ががんの宣告を受けるところから始まる漫画『おはよう、おやすみ、また明日。』(御前モカ/秋田書店)。キャビンアテンダントの仕事ぶりを描いた「CREWでございます!」シリーズで知られる漫画家・御前モカさんが、自身の闘病体験をもとに描いた作品だ。闘病体験を描くと同時に、主人公が“限りある人生だからこそ”とよりよく生きることを模索していく姿も描かれている。紅葉がこれまでの自分を見つめ直す姿は、限りがある人生だからこそ人は輝いているのだということを私たちに教えてくれる。御前モカさんにインタビューし、自身のがんとの向き合い方からご家族・ご友人など周囲の人の変化まで、さまざまなお話を伺った。
――漫画を描いていく上で、難しかったことはありますか?
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御前モカさん(以下、御前):全ての方を傷つけない表現は難しいというか、存在しないということですね。病気だったり死だったり、とてもデリケートなテーマを扱っているので、必ずどなたかは傷つけてしまっているということを忘れないように描いております。
――なるほど、それは覚悟の問題ということですか? 傷つけないための工夫をしていたりもしますか?
御前:覚悟ももちろんですが、ショックを与えてしまう可能性のある描写の前には注意書きを入れております。読んでいただかなくても前後の話が繋がるようにしつつ、あらすじの説明を入れたりもしております。
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――読者の方からの反響はいかがですか?
御前:がん患者の方ご自身からごご感想をいただくこともございますし、患者家族・ご友人の方々からもいただいております。例えば2巻でいつも紅葉に寄り添ってくれる友人・あかねが久々に会った紅葉に「よかった元気そうで」と言うシーンを紅葉視点、あかね視点の両方から描いた回がございます。紅葉は「脱毛もしていて、副作用もあるのだけど、元気とは?」と内心もやもやしてしまいます。あかねは紅葉のことを本当に心配していて、平常心で接しよう、でも病人なのだからと気を遣っているのですよね。その回を読まれた患者の方が「同じような出来事があったのですが、相手の心の内はもしかしたらこうだったのかもしれないと思いました」とご感想をくださいました。ご家族やご友人の方からは「本当に『元気で良かった(生きていて良かった)』という気持ちがあふれて言ってしまったことがある」とお声が届いて。この回はがんになった方とそうでない方の溝を埋めたいなという目的で描いたものだったので、目的を達成して架け橋になれたのではないかなと感じました。
取材・文=原智香
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