
『仕事とスマホで終わる日々が「習いごと」で変わった話』(よざひかる/KADOKAWA)は、現代を生きる忙しい大人が忘れかけている「自分自身の人生」を取り戻すためのヒントが詰まったコミックエッセイだ。
多くの社会人は、朝から晩まで仕事に追われ、帰宅後は疲れ果ててスマホを眺めるだけで一日が終わる。そんな日々の虚しさを著者・よざひかる氏も痛感していた。しかしコロナ禍で仕事がストップしたことをきっかけに、彼女は「ずっとやりたかったこと」に次々と飛び込んでいく。英語、韓国語、ピアノ、絵画、作曲、ボイストレーニング。大人になってからの「習いごと」という普段なら始める勇気も時間も持てないことに挑戦したことで、日常は大きく変わっていく。
続きを読む
大人が新しいことを始める際、最も高い壁となるのは「今さら始めても……」という気後れや、「続くわけがない」という諦めではないだろうか。しかし、著者は「1日1分でもいい」「1日体験だけでもいい」と、驚くほどハードルを低く設定する。
英語学習では、「1日1分だけのゆるい英会話」を続けた結果、TOEICのスコアが300点もアップ。30歳から始めたピアノも、2年後にはクラシック曲を弾けるまでになったという。これらのエピソードは、人生を楽しく変えるために必要なのは優れた才能ではなく「自分の『好き』に素直になる勇気」であることを教えてくれる。
続きを読む
仕事という社会人の役割から離れ、純粋に興味があることに打ち込むひとときは、失いかけていた自己肯定感を回復させてくれる効果もあり、誰にも奪われない心の財産になるのだ。
本書を読み終わる頃には視野が狭まっていたことに気づき、新しいことを始めてみたいというポジティブなエネルギーに満たされているかもしれない。人生はいつからでも自らの手で鮮やかに塗り替えることができるということを教えてくれる作品だ。
文=坪谷佳保
記事一覧に戻る