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五分後の世界 村上龍/幻冬舎


僕は現在、YouTubeチャンネル『斉藤紳士の笑いと文学』を運営している。このチャンネルでやっている企画のひとつにある小説を取り上げ、ストーリー展開や見どころなどを事細かに紹介する、というものがある。その企画の中で紹介したもので最も反響が大きかった作品のひとつが『五分後の世界』(村上龍/幻冬舎)である。


村上龍の作品群の中で、やや異質だったこの作品はのちの村上龍作品を見るとひとつの転換点になったのは間違いない。高校の図書館で読んで衝撃を受けた『限りなく透明に近いブルー』から連綿と続いていた徹底的にリアルな作風と最新のトピックを小説に落とし込む先見性からは少し外れた、それこそ五分ずれこんだかのような新境地を見せている。それがSF的な要素と専門性の高い情報を惜しげもなく描写していくスタイルである。


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