
夫の様子がどこかおかしい。形容しがたい違和感は、やがて確信に変わる。傷ついた妻が選んだのは、夫への復讐の道だった…。『妻が別れを告げる時』(きなりみや:漫画、古川あさこ:原案/KADOKAWA)は、夫の浮気、不倫、モラハラによって傷つけられた妻たちの復讐劇を描いたオムニバスストーリー。
『妻が別れを告げる時』に収録されているエピソード「美人店長と食事デートを楽しむ経営者夫の話」は、仕事が落ち着いたら子どもをもうけようと計画していた共働き夫婦の物語。夫婦仲は良好だが、飲食店経営者の夫は従業員の女性と親密な様子。女性とふたりきりで出かけたことを問い詰めても、仕事だからとあしらわれてしまう。これって浮気の前触れ? 証拠集めに奔走する妻は、ついにふたりの浮気現場を目撃してしまう。
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「美人店長と食事デートを楽しむ経営者夫の話」の夫婦を例に、離婚カウンセラーでもある「家族のためのADRセンター」代表・小泉道子さんに、夫婦関係や離婚についての話を伺った。
――起業したての夫の仕事を優先するため「子どもは落ち着いてから」と話し合っていた共働きの主人公夫婦。妻が30歳を迎えるにあたり改めて相談したところ、お互いに「子どものことを真剣に考えたい」という気持ちは合致していました。
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しかし夫は「子育てするなら仕事を辞めて家に入ってほしい」、妻は「出産したら復職したい」と意見がすれ違ってしまいます。
このようなケースではどうやってお互いの意見をすり合わせていくのが理想でしょうか。
小泉道子さん(以下、小泉):最初は、その発言の理由をお互いに聞くといいと思います。例えば、夫が「仕事を辞めて家に入ってほしい」と思うのはなぜか。
「自分は100%仕事に注力したいから、家事・育児を手伝わされると困る」「経営者である自分の妻が働いていると世間体が良くない」「妻を外に出したくない」など、さまざまな理由があるかと思います。
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つぎに、その理由ごとに解決策を考えます。
妻から「自分が働いたとしても、夫には一切負担をかけない」と約束したり、「自分が働いていることは対外的には秘密にする」「子どもが3歳になるまで待つ」といった妥協案もあるかもしれません。
妻についても同様です。働きたいのはなぜか。自己実現なのか、お金なのか、家に縛られたくないのか。そういった理由によってそれぞれに解決策があります。
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そうしたことを話し合っていくうちに、「パートナーが自己実現という目標に向かっていこうとしているのに、夫が家事・育児に協力しないってどうなの?」という疑問もわいてきたりして、判断材料が出てくるはずです。
――話し合いを進めていく際の注意点はありますか。
小泉:子どもをもつか否かや、働くのか家庭に入るのか、といった人生において重要な価値観は、無理にすり合わせなくてもいいと思います。どうしても方向性が違うのであれば離婚する、という考え方もあるのではないでしょうか。
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取材・文=あまみん

小泉道子(こいずみ みちこ)
「家族のためのADRセンター」代表。家庭裁判所調査官として、夫婦の離婚調停の仕事に15年間従事。その後、民間調停機関「家族のためのADRセンター」を立ち上げる。離婚カウンセラーとして、親の離婚に直面する子どもたちのケアにも力を入れている。
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