
子育てと仕事のバランスは、思っている以上に難しい。とくに、これまで積み重ねてきたキャリアが崩れてしまいそうになるとき、子育てによる制約が少ない男性を羨ましく感じてしまうこともある。また、心にも時間にも余裕がなくなるほど子どもに冷たく当たってしまい、「理想の母親になれない自分」に苦しむ人も多い。
『わたし、迷子のお母さん ある日突然、母親するのが苦しくなった』(らっさむ/KADOKAWA)の主人公・楓は、保育園児の娘を育てるアラフォーの会社員。夫は起業したばかりで忙しく、毎朝、保育園に行きたがらない娘に優しくできず、自分を責め続けていた。ある日の帰り道、急に体調が悪くなり電車から降りられず、自宅から離れた終点まで行ってしまう。偶然出会った人々に助けられ、一息ついたのも束の間、ママ友から届いた夫の浮気現場の写真がさらに楓を追い詰める。それでも、娘の待つ家に帰ろうとする楓だったが、パニック状態になり、帰れなくなってしまう。そこで初めて、自分の心の限界を自覚する。