好き嫌いがあったり食が細かったりで、簡単ではない子どものお弁当。美味しく食べてもらえるアイデアがあったら知りたいですよね。そこで参考にしたのが、『お弁当デイズ フダン弁当、ハレの日弁当』(文藝春秋)。ほのぼのとした漫画で知られるたかぎなおこさんによるコミックエッセイです。娘のために工夫を凝らしたというお弁当のアイデアをいくつか試してみました。
たかぎなおこ『お弁当デイズ』を読んで、我が子にお弁当を作ってみた! 卵焼きをキレイに焼く方法、困った時のオススメの一品は?【書評】
●やっぱりお弁当には卵焼き!
お弁当の定番といえば卵焼き。鮮やかな黄色が映える人気者…と思いきや、娘のむーちゃんはあまり好きではない様子。たかぎさんの卵焼きは白身がまだらに入っていてきれいではなく、むーちゃんもお弁当に入れるのを嫌がっていたようです。
そんなある日、テレビできれいな焼き方を見かけ、たかぎさんは卵焼きの作り方を改変。きれいな卵焼きを作れるようになり、むーちゃんから「週に一切れなら入れていい」という許可を得たのでした。
ポイントは…、
※以下、写真は筆者が撮影したもの
・卵を上下左右に切るように混ぜること
・焼くときは油をひいて、フライパンがちゃんと熱くなってから
・火加減は中火で固定! 卵は3回に分けて入れ、あせらずあわてず巻いていく
筆者も漫画の手順で焼いたところ、きれいな卵焼きが完成! 卵を切るように混ぜると白身が切れ、きれいな卵液になるようです。全体的に黄色く仕上がり、見た目からして美味しそう。フライパンも、ちゃんと温めてから焼くと卵がくっつきにくく、落ち着いて巻くことができました。卵焼きがイマイチきれいに焼けない人は、一度試してみては?
●喜んでくれるなら…冷凍食品や「ピック」を使ってみた
ほかにも、むーちゃんが喜んだお弁当のアイデアを取り入れてみました。息子は保育園で給食を食べていたこともあり、お弁当作りにいつまでたっても慣れない筆者。何を入れていいのかわからず、おにぎりや肉野菜炒めなどのフツーのメニューでお茶を濁していましたが、本書のアイデアを参考にすれば喜んでくれそうです!
食べるのに時間がかかるむーちゃんですが、フルーツは大好きで、食べるのも早いそうです。わが家でもブドウとナシを入れてみたら、「フルーツが付いてる!」と息子のテンションがアップ。ちなみに、むーちゃんは同じフルーツが続くのを嫌がるそうで、缶詰の桃を入れたら大好評だったとか。その手があったか!
むーちゃんの食が細いのも、たかぎさんの悩み。ただ、ケチャップごはんは大好きで、お弁当でよく手作りしていたそうです。あるとき、冷凍のチキンライスを使ってみたら、「あかいほう(手作りではなく冷凍のほう)がすきー!!」と言われてしまい…。それからは心置きなく冷凍チキンライスを使っているとか。冷凍食品ってすこし罪悪感もありますが、レンチンで時短になるし、子どもが喜んでくれるならアリですよね。
たかぎさんが作るお弁当にはいつもかわいいピックが入っていて、ピックが新調された日はむーちゃんが特に喜んでいたとか。入れるだけでお弁当を華やかに彩ってくれるピック。自分には関係ないもの…と思っていましたが、手軽に取り入れられる便利さとかわいさに目覚めました!
漫画では、むーちゃんが小学校に上がったのと同時に、たかぎさんも娘のお弁当作りから卒業。お店でかわいいピックを見かけると、寂しさを感じたそうです。小さなお弁当を食べていたむーちゃんがどんどん成長する姿にわが子の姿が重なり、何度もホロリとしました。
●子どもの成長を刻む、思い出のお弁当
夫と娘のお弁当と一緒に、自分のお昼ごはんも作っていたというたかぎさん。筆者も自分と息子の分を一緒に作ってみました。離れていても同じものを食べている、その嬉しい感じが伝わってきます。
まだピックをかわいく使いこなせませんが、それでも子どもは「ウインナーとピーマンの串ざしだ」「ウインナーがいつもと違っておいしい(たかぎ家風にケチャップで炒めてみた)」と笑顔に…。そんな姿を見たら、親の喜びもひとしお。たかぎさん流のお弁当技で、これからも子どもが喜ぶお弁当作りに挑戦したいです。
漫画では、たかぎさんとむーちゃんがお互いのお弁当を作り合う「交換弁当」のエピソードも描かれていました。むーちゃんが作ったお弁当にはフルーツやピックなどが入っていて、たかぎさんは「(自分の作ったお弁当を)覚えていてくれたのかな」と感動したとか。
たかぎさん自身も、子どもの頃にお母さんが作ってくれたお弁当を思い出すと胸がキュンとするそうです。うちの子もそんなふうに、いつか自分のお弁当を思い出してくれるといいなぁ…。
調理・写真・文=吉田あき