※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年10月号からの転載です。
細やかな秘義に満ちたたたずまい
装丁=羽良多平吉(株式会社EDiX)
※「羽」「平」は正しくは旧字体表記です
繊細な魔法が宿っていそうだと思った。造本や用紙は特殊なことをしているわけではないハードカバーで、こんなにオーラを発散している本はなかなかない。
カバーの、ビッグバン……かな? というビジュアルにタイトル・著者名・訳者名・英題などの各要素が独特なリズムに沿って置かれている配列美。タイトルの細い明朝体にもよく見ると少し立体的に見せる加工が施されていたり、0.1mmの細い罫線づかいにはむしろ大胆さを感じ、オビの上部に1.5mmほど残した白は、本体に巻いて正面から見たときに白い罫線として働いたりしている。まさに細部に神がやどった超絶技巧。
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