
2024年11月に日本で劇場公開され、第96回「アカデミー賞」長編アニメーション映画賞にノミネートされた『ロボット・ドリームズ』。その原作となるグラフィックノベル(コミック)の“日本版”が、2025年9月17日(水)に刊行された。
著者は、シカゴ在住のグラフィックノベル・児童書作家であり、イラストレーターでもあるサラ・バロン氏。これまで数多くの話題作を手がけ、YALSA優秀グラフィックノベルやニューヨークタイムズベスト児童書に選出された実績を持つ。
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2007年に刊行された『ロボット・ドリームズ』はセリフがなく、マンガのようなコマ割りで構成されたグラフィックノベル。擬人化された動物たちの世界を舞台に、主人公・ドッグとロボットの友情や別れを温かく、切なく描いている。
もともとロボットは、ドッグが孤独を埋めるため、専用のキットを発注して組み立てたもの。その日から二人の楽しい生活が始まるが、ある夏、海水浴に出かけた際、ロボットが錆びついて動けなくなってしまう。ドッグは日を改めて修理を試みるものの、海水浴場はシーズンオフで閉鎖され、来年の夏まで離ればなれに。果たして二人を待ち受ける未来とは――。
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映画版も原作と同様にセリフはないが、さまざまなオリジナルシーンを追加。宝物のような二人の友情物語は日本公開後すぐに口コミで話題となり、公開館数20館からのスタートながら2025年2月には興行収入2億円を突破した。さらにアカデミー賞ノミネートのみならず、アニー賞、ヨーロッパ映画賞、ゴヤ賞など数々の映画賞を席巻している。
また劇中ではアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」が流れる描写があり、同楽曲の歌詞にある“9月21日”に合わせてBlu-ray&DVDが発売されることに。さらに映画館でも再上映が行われるなど、再び『ロボット・ドリームズ』が盛り上がっている。
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そして今回発売される原作グラフィックノベルの日本版は、著者サラ・バロン氏の協力を得て実現した日本限定のスペシャル仕様。擬音など100以上の単語を翻訳したほか、著者自ら描き下ろしたカバーイラストやインタビュー、日本の読者に向けたイラスト付きメッセージなどが収録されている。映画版とは違った独特の魅力、原作ならではの空気感が味わえるので、映画を観たことがある人にも手に取ってほしい一冊だ。作者の言葉に触れることで、映画版の見え方もまた変わってくるかもしれない。
ちなみに『夜のピクニック』などで知られる小説家・恩田陸氏と、『ONE PIECE』や『名探偵コナン』などの話題作に数多く出演する人気声優・山口勝平も同作を推薦。特に山口は自身のX(旧Twitter)で「自分の中でコレ超えてくる作品、当分出てこない気がする」と絶賛するほどで、彼の太鼓判を受けて、映画を観に行った人も少なくないという。
映画版を観た人も、観ていない人も楽しめる原作グラフィックノベルの日本版。この機会に『ロボット・ドリームズ』の原点に触れてみよう。
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