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桃源暗鬼 1  漆原侑来/秋田書店


『桃太郎』といえば、日本人にとって最も馴染みのある昔話の一つだ。桃から生まれた勇敢な少年が、犬・猿・キジと共に鬼を退治する――そんな勧善懲悪の物語が、もし「正義とされていた桃太郎側こそが、真の“悪”だった」としたら?


『桃源暗鬼』(漆原侑来/秋田書店)は、この大胆な問いかけから始まる漫画だ。桃太郎の既存のイメージをひっくり返す形で、正義の曖昧さをダークファンタジーのような雰囲気であぶり出す。1巻では本作の世界観と、主人公の鬼としての覚醒が鮮烈に描写される。


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