ダ・ヴィンチWeb

水は感情を記憶すると聞いたことがある。


もしそうであれば、空から降ってくる雨にも何かしらの感情が宿っていると考えるのが自然だ。


地上で人間のさまざまな感情を吸った水分が、太陽の熱で蒸発し、上空で冷やされて水滴となる。それはやがて雲に変わり、地上で生活する人間のもとへと帰ってくるのである。


僕には、濡れて悲しい気持ちになる雨と、濡れても晴れやかになる雨がある。


前者は誰かの悲しみや苦しみを記憶した雨で、後者は誰かの嬉しさや優しさを記憶した雨。


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