
耳かき専門店での勤務経験をオリジナル漫画にしてSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”にハマってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな境遇の客たちとの交流を通じて自己否定と向き合う姿と、知られざる耳かき専門店の知られざる裏側を描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。著者である森民さんにお話をうかがった。
漫画家志望の主人公は、「耳かき専門店」での経験を通じて自己否定感との折り合いの付け方をだんだん身に付けつつあった。あるとき幼馴染みに「うつ病で休職しているからアルバイトを紹介してほしい」と頼まれ、自分が働く耳かき専門店を紹介することに。
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悩みを抱える友人の姿に自分を重ね合わせる
――うつ病で休職中の友人を耳かき専門店に誘うエピソードですが、似たような悩みを抱える彼女に自分が働く店を勧めた最大の理由は何でしょうか。
勧めた最大の理由は、働く日や時間をある程度自由に決められるから、ですかね。出勤しない週や月があっても咎められないし、やっぱり合わないから辞めたいとなっても「了解です」と言われるだけで、嫌な顔もされず引き止められないので。
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あとはお客さんの層やスタッフも穏やかで癒やし系な人が多いので、人間関係のストレスが少ないからというのも大きかったです。メンタル面で自信がない人も働きやすい環境だとは思います。
――作中では「デジャヴ」と表現されていますが、森民さんの入店当初と同じような悩みをが抱えている友人の姿を見てどう感じましたか?
私みたいに周りと比べて落ち込むタイプって少ないのかなと思っていたのですが……意外と皆、同じようなことで悩むんだなぁと思いました。
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ノルマもないし指名が全然なくてもお給料が入るという環境でも、人はやっぱり無意識に、気づいたら他人と比べてしまう生き物なんだなぁ、と。
――「2つのことを同時にするのがヘタだから……皆さん雑談しながらできてスゴイ」というセリフは考えさせられますが、実際に施術中、どれぐらいの人が雑談をしてくるのでしょうか?
あのセリフ、結構ハッとしますよね。私も幼馴染ちゃんから聞いたとき考えさせられました。
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雑談する人の割合……どうなんでしょう。6割とかでしょうか。最初のあいさつで「最近仕事で疲れていてめっちゃ眠いので寝ます。すみません」とおっしゃる方も結構いましたね。
やる気はあっても自己否定感に悩まされてしまう。そんな自分との向き合い方を実体験ベースに描いた本作。客や同僚など、自分と同じように自己否定感に苦しむ人との交流で得たものとは。耳かき専門店の裏側と併せて、森民さんの変化をご覧いただきたい。
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