「公務員」だと思ったらぼんくら貧乏陰陽師!? 契約結婚から始まった夫婦の陰陽道物語【書評】

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『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』(秋田みやび:原作、遠野由来子:漫画、キャラクター原案:しのとうこ/秋田書店)は、契約嫁がぼんくら旦那とともに怪異に挑む、少し風変わりな新婚生活を描いた物語である。
突然の火事で住む場所を失い、バイトもクビになる不幸続きのヒロイン・野崎芹(のざきせり)。そんな彼女の前に現れたのは、「公務員だ」と名乗るイケメン・北御門皇臥(きたみかどこうが)であった。衣食住の保証を条件に契約結婚を持ちかけられた芹は、迷うことなくその話に飛びつく。しかし、実際に結婚してみると、彼の正体はまさかの貧乏陰陽師であった——。
謎めいた男性の登場、突然持ちかけられる契約結婚。そんな都合の良すぎる話に飛びついて大丈夫なのか?と思わずツッコミたくなるような奇妙な出来事に翻弄されるうちに、物語は一気に加速する。「読者は1話目からハラハラしながら物語に引き込まれ、先の読めない展開に夢中になることだろう。
本作の魅力のひとつは、陰陽道を舞台にした本格的な世界観である。陰陽師の役割や式神の使い方が丁寧に描かれており、専門的な設定もスムーズに理解できる構成となっている。
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