高倉健が『南極物語』の撮影現場で肌身離さず読み返した「愛読書」とは。読書家・健さんの図書係が綴る、名優をつくった12冊【書評】
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「昭和の寡黙な男」と言えば、名優・高倉健さんを思い出す人が多いのではないだろうか。人生の重みを感じるその静かな佇まいは、憧れをかき立て続ける。そんな高倉健さんが亡くなったのは2014年11月。もう10年以上の歳月が流れたのかと思うと寂しい限りだが、昨年の秋に健さんの新たな素顔を知ることのできる本が登場したのをご存じだろうか。『高倉健の図書係 名優をつくった12冊(角川新書)』(谷充代/KADOKAWA)は、熱心な読書家だったという健さんの一面を知ることができる一冊だ。
著者の谷充代さんは、1980年代半ばから2000年代まで、健さんへの取材を重ねてきたフリーランスのルポライター。これまでも『旅の途中で』(高倉健/新潮社)のプロデュースや、自著として『「高倉健」という生き方(新潮新書)』(新潮社)、『高倉健の身終い(角川新書)』(KADOKAWA)ほか、健さんについての複数の書籍を手がけてきた方である。
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