新川帆立の新作『目には目を』 罪を犯した少年たちの明と暗。復讐と贖罪、あるいは友情と更生の物語【インタビュー】
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※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年3月号からの転載です。
人を殺した罪で少年院に収容され、退院後、被害者の母親に殺された少年A。事件を追うルポライターは、Aと同時期に少年院で過ごした“仲間”の少年たちに取材する。その目的は、Aの情報を提供した“密告者”を見つけること。ルポライターの目を通して見えてくる、少年たちそれぞれの罪と罰とは──。
取材・文:皆川ちか 写真:冨永智子
デビュー以来数多くのリーガル・エンターテインメントを旺盛に発表してきた新川帆立氏。新作『目には目を』では少年犯罪をテーマに掲げている。最初に執筆動機を尋ねたところ、こんな答えが返ってきて内心面食らった。
「社会にうまくフィットしていない人たち、いわゆる社会不適合者について書きたかったんです。というのも私自身がそうだから」
新川氏の経歴を見ると、社会不適合どころかその反対ではないかと思われたからだ。けれど話を聞いていくうちに、本作の少年たちの抱える苦しみは、作者自身の苦しみなのかもしれないと感じられていった。
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